アトピー性皮膚炎プロアクティブ療法のすすめ
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TARC値症状の程度:TARC測定のタイミング(黄色は必須)TARC測定を併用したプロアクティブ療法の例を、1:寛解導入、2:維持、3:漸減と3段階に整理してまとめました。まず、全身の皮膚をよく観察し、治療開始前の皮膚症状を正確に把握するとともに初期病勢をTARC検査により評価し、抗炎症外用薬により寛解導入療法を実施します。そして全身を見てもさわっても皮疹ゼロの状態にしてから、抗炎症外用薬の外用頻度を再考し、一部タクロリムスに変更するなどして維持療法へと移行します。この際、成人であれば1ヵ月に1回のTARC検査で正常値レベルをモニターしながら治療を進めることが確実な方法ですが、小児では頻回の採血は困難と思われますので、最低限必要と思われるタイミングを図に示しました。寛解維持療法から抗炎症外用薬の漸減のステップに移行する際に、特に重症例では、1ステップ漸減した後、1〜2ヵ月様子を見て、再度TARC値を確認し、正常値付近なら次のステップへと、慎重に移行することが望まれます。プロアクティブ療法は、前述の通り炎症が治まった後も間欠的に定期外用を塗布する方法であるため、目には見えない炎症を確認しながら適切な治療を行うことが求められます。血清TARC値は、アトピー性皮膚炎では他の疾患と比べて高値を示し、アトピー性皮膚炎の重症度を明確に反映する血清マーカーです。また、アトピー性皮膚炎の重症度や病勢の参考となる他の病勢マーカー(LDH、総IgE、末梢血好酸球数)と比較して、TARCは治療によるアトピー性皮膚炎の病勢を短期的に鋭敏に反映することが、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会誌)に記載されています。重い軽い抗炎症外用薬(ステロイド・タクロリムス)TARC測定の意義とタイミングTARC基準値450pg/mL未満1.寛解導入湿疹初期病勢評価2.維持治療成果の客観的評価(2歳以上)見ても、さわっても皮疹ゼロTARC基準値以下を維持3.漸減薬剤減量評価外用薬の漸減評価治療終了評価成人1)再燃743pg/mL未満小児2)小児2)再燃再燃(1歳以上2歳未満)(6ヵ月以上12ヵ月未満)998pg/mL未満1,367pg/mL未満TARC値の変化TARC基準値小児2)高い低い1)玉置 邦彦ほか : 日本皮膚科学会雑誌, 2006, 116(1), 27-39より引用 2)藤澤 隆夫ほか : 日本小児アレルギー学会誌, 2005, 19(5), 744より引用提供 : 片岡 葉子先生提供:片岡 葉子先生123皮膚の状態とTARC値の関係TARC測定を併用したプロアクティブ療法:外用薬の使い方「1・2・3」プロアクティブ療法の実践とTARC検査の測定タイミングについて

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