アトピー性皮膚炎プロアクティブ療法のすすめ
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LD好酸球(%)TARCステロイド外用薬保湿剤ステロイド塗布範囲1回/日初診時30819.14,4801ヵ月後2057.57012ヵ月後18610.73531回/2日2回/週3ヵ月後1699.13424ヵ月後1928.63625ヵ月後18711.3308(保医発0305第1号 平成30年3月5日より)1回/週7ヵ月後199̶ 3699ヵ月後1801121730歳代、男性。約1年前から瘙痒性紅斑が出現。ステロイド外用薬を外用しているが改善せず、次第に拡大し、夜間も瘙痒で覚醒するようになり、当科受診。写真に示す範囲全体にステロイド外用を指示した。1ヵ月後、紅斑および瘙痒は消失した。初診時異常高値を示した血液検査のうち、LD、好酸球数は正常化、血清TARCも著明に改善しているが、まだ正常域ではなかったため、さらに1ヵ月間初診時の外用を継続した。2ヵ月目にTARCの正常化と皮膚症状の再燃のないことを確認後、当初の外用範囲と同じ範囲に、同じ薬剤のまま、1回/2日外用とした。3ヵ月後もTARCおよび皮膚が正常であることを確認して、同様に2回/週と外用回数を減数、TARCの正常維持を確認しながら、7ヵ月目から1回/週と減数。9ヵ月目以降、定期的な外用を終了とし、再燃のある部位に早めに外用するreactiveな外用としたが、ステロイド外用はほとんど必要とせず、保湿剤のみで略治が維持された。※注:すべての症例が同様の経過をとるわけではありません。病歴、皮疹の性状等によって異なりますので、個々の症例に応じた診療が必要です。広島大学医学部卒業広島大学医学部附属病院皮膚科研修医大阪船員保険病院皮膚科勤務大阪府立羽曳野病院皮膚科医長同皮膚科部長同病院改称 大阪府立呼吸器アレルギー医療センター皮膚科部長同皮膚科主任部長同アトピーアレルギーセンター長(兼任)  現在に至る皮膚の状態が検査値で表されるため、目に見える治療目標を持つことができます。見た目がよくなってもTARC値が基準値以上の場合は、目に見えない炎症が残っていることがわかります。定期的に検査を実施し、適切な治療を行うことで、皮疹のない状態を長期間維持できることが期待できます。異常高値は専門医に紹介する目安となります。1ヵ月後アトピー性皮膚炎の治療は、早期に寛解導入し、再燃のないことを確認しながら抗炎症外用薬を漸減することが重要です。監修者プロフィール大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科 主任部長 片岡 葉子 先生 1983年1983年1985年1996年1999年2003年 2006年2011年検体検査実施料TARC 189点(D015 19)(D026 5)〈算定における留意事項〉TARCは、血清中のTARC量を測定する場合に月1回を限度として算定できる。検体検査判断料免疫学的検査判断料 144点症 例TARC検査により外用薬などの塗り方が上手くいっているかどうかの確認をすることができます。TARC検査は保険適用ですTARC検査の有用性と症例例示

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