「患者さんが一番の教科書」

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医師のフィロソフィー
上田 朋宏 先生

 上田先生は、今から20年以上前に高齢者のオムツや尿道留置バルーンの問題に対して治療とリハビリを通じて排尿の自立に取り組んでこられました。現在は、泌尿器科 上田クリニックの院長として日常診療の傍ら、京都府医師会理事、NPO法人快適な排尿をめざす全国ネットの会の理事長も務めておられ、様々な面から排尿問題について取り組まれています。
その上田先生の医療に対する哲学についてお話を伺いました。

患者さんが一番の教科書

 私は、「患者さんが一番の教科書」ということを意識して患者さんの診療を行っています。
患者さんの自覚症状と検査データから疾患を想定しますが、必ず答えは一つとは限りません。様々な事を想定し診断を行います。そのうえで、「なぜ」ということを意識し追及するようにしています。そして、良質な医療の提供のために患者さんとのコミュニケーションを重視し、患者さんのお話をしっかり聞くこと、そして必要な検査をきちんと行うこと。すべては患者さんのために非常に大切なことだと考えています。 
 また、最近、若い医師が専門医を目標として、都市部の病院を希望し地方の病院を避ける傾向があります。地方で勤務することは、たしかに専門分野に関する症例数は都市部に比べて少ないとは思いますが、一方で地方勤務のメリットもあると考えています。私自身、滋賀県にある公立甲賀病院で11年勤務していましたが、地方は都市に比べて医師が少ない分、いろんな患者さんを診る機会が多く、腕を磨くことができました。私は、与えられた環境の中で、一生懸命に努力すれば、10年、20年先に必ずプラスになると考えています。
 今後も「患者さんが一番の教科書」と意識し、エビデンスがなければ自身で作り上げるくらいの気概で患者さんの症状と向き合っていきます。

患者さんのQOL(生活の質)の向上のために

 クリニックを開業して1年経ち、全国から患者さんが来院されています。遠方からの患者さんも多く再来院が簡単にできないために、その日、その場で検査し診断するよう心掛けております。その為に、血液や尿の検査機器、内視鏡検査機器などの診断を迅速に行えるよう環境を整えております。時には、医療機器や医療用具のメーカーと交渉し、患者さんの暮らしがより豊かになるように新しい製品の要望をしています。
 また、患者QOLの向上のためにプライマリケアは重要であります。プライマリケアには、2軸あり総合的な面と専門的な面を持ち合わせています。
 私は、どのような疾患でも総合的な判断を実施し、そして専門の医療機関に繋ぐようにしています。また、医療機関から逆に紹介を受けることも多く、特に間質性膀胱炎の領域では、苦しんでいる患者さんが多く、一人一人の悩みに向き合いながら、患者さんはもちろん、患者さんの家族にも納得のいく治療を一緒に考えるようにしています。

間質性膀胱炎への取り組み

 間質性膀胱炎は頻尿、膀胱痛、尿意切迫感を主訴とする原因不明の難治性膀胱の炎症性疾患です。海外と比べると、日本国内の間質性膀胱炎の認知度はいまだに低く、診断されないまま長く苦しんでおられる患者さんが少なくない状況です。
治療についても、日本及び欧米の製薬会社の開発意欲は高く、研究が盛んに行われていますが、いまだに有効な方法がなく、必ずしも満足のいく状態ではありません。そこで専門家の意見を調整し研究の有効な方法を探るとともに、間質性膀胱炎の認知度を高めるため、国際会議を開催するなどの活動に取り組んでいます。

 私は、様々な面から一人でも多くのおしっこ問題に悩む人々のため多くの職種と連携して地域医療だけでなく全国の患者さんのために適切な医療を提供していきたいと考えています。
 更には身近な『おしっこの問題』を年齢であきらめることのないよう皆で考え、社会全体をより良くするためのお手伝いをしていきたいです。

(2013年3月公開)

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