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喀血・血痰

別名 hemoptysis,bloody sputum

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 喀血・血痰は下気道病変以外にも,心疾患など種々の原因で生じるが,消化管出血(吐血)や,鼻出血(後鼻漏)・歯肉出血など上気道由来の出血の鑑別をまず行う.
  2. 大量喀血は健側肺への吸い込みにより呼吸不全を招来するため,緊急対応が必要となる.
  3. 聴診,胸部単純 X 線写真で患側を同定し,患側を下にした側臥位をとることで健側肺への喀血の吸い込みを防ぎつつ,治療にあたる.
  4. 酸素療法とルート確保を行い,止血剤の点滴を行い,胸部 CT(可能なら造影 CT を施行し,3D-CT angiography で extravasation を呈している責任血管を同定)を撮影し,気管支鏡の適応を検討する.
  5. 出血量が多く,呼吸状態の悪化を伴い,気管支鏡による止血が困難な場合は,健側肺を救うために健側主気管支への片肺挿管を行い,気管支動脈造影・気管支動脈塞栓術を迅速に行う必要がある.
  6. 実臨床において上記のような緊急を要する症例は一部にとどまり,多くの場合は少量の血痰を認めて不安を伴い来院するため,外来での原因検索,精査加療が可能である.
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原因疾患・鑑別疾患

 喀血では,消化管出血(吐血)や,鼻出血(後鼻漏)・歯肉出血など上気道由来の出血の鑑別をまず行う(表1).喀血の多くは咳嗽とともに鮮血を喀出することが多いが,出血後に時間が経過している場合は暗赤色を呈することもある.吐血の多くは嘔吐と同時に暗赤色の吐物を認め,食物残渣を伴うことと酸性を呈することから鑑別を行う.
 喀血・血痰の原因疾患と臨床症状・検査を表2 に示す.
 原因疾患は気管支拡張症,気管支炎,肺炎肺炎球菌性など),肺化膿症,肺結核・非結核性抗酸菌症などの感染症,肺門部腫瘍(扁平上皮癌,小細胞癌,カルチノイド,腺様嚢胞癌,粘表皮癌など),心血管系(うっ血性心不全肺血栓塞栓症など),間質性肺炎(特発性,膠原病肺など)が多い.うっ血性心不全や間質性肺炎などは一般的に両側性の陰影を呈することが多いが,僧帽弁閉鎖不全症に伴う逆流が片側に強く向かう場合などはうっ血像が片側性に出現する場合もあり,また間質性肺炎においてもlateralityを伴う症例もあり,注意を要する.
 その他,甲状腺癌,食道癌,縦隔腫瘍の気管浸潤なども血痰の原因となり,胸部単純Xpで気管の偏位・狭窄なども注意を払う必要がある.
 深部静脈血栓症の既往がある場合や担癌患者,寝たきりなどのハイリスク群では肺血栓塞栓症を,月経周期と一致した喀血は異所性子宮内膜症を,激しい胸痛に伴い大量の喀血と血圧低下を伴う場合は大動脈瘤破裂なども念頭に置く必要がある.
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表1 喀血と吐血の鑑別
表はPC版サイトをご覧ください
表2 喀血・血痰の原因疾患と臨床症状・検査
表はPC版サイトをご覧ください
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