『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 視床下部-下垂体-副腎皮質系,生殖器系(精巣,卵巣),男性ホルモンの代謝経路のいずれかの異常を疑うときにまず,スクリーニングとして尿中17-KSを測定する.
- 17-KSに含まれるステロイド分画は,11-oxy-17-KSと11-deoxy-17-KSとの2つの分画群に大別され,17-KS 2分画とよばれる.11-oxy-17-KSは主として副腎由来のコルチゾールが11-hydroxy型,あるいは11-keto型のアンドロステロン(An)やエチオコラノロン(Et)に代謝されたもので,全17-KSの20%を占める.実際には11-hydroxy-An,11-hydroxy-Et,11-keto-An,11-keto-Etの4分画が含まれる.一方11-deoxy-17-KSは17-KSの80%を占め,主として副腎由来のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)やデヒドロエピアンドロステロンサルフェートと,副腎と性腺由来のΔ4-アンドロステンジオンや性腺由来のテストステロンが肝臓でアンドロステロンやエチオコラノロンに代謝されたものを含み,これらDHEA,アンドロステロン,エチオコラノロンの17-KS 3分画より構成され,以上を合わせて17-KS 7分画とよぶ.17-KSの異常値をみた場合,どの分画に異常があるかを判定するためにエチオコラノロンを測定することが多い.
- また,同じ17-KS分画のアンドロステロンに比してエチオコラノロンは男性ホルモン活性が弱いことを利用して,エチオコラノロン/アンドロステロンの比率(E/A比)は男性ホルモン作用の指標として有用となる.甲状腺機能低下症,副腎癌ではE/A比は大きくなり,甲状腺機能亢進症では小さくなる.
- 先天性副腎皮質過形成のうち,21-水酸化酵素欠損症と11β-水酸化酵素欠損症では両者とも副腎由来の男性ホルモンが増加し,結果的にその代謝産物であるエチオコラノロンが高値となる.また多のう胞性卵巣ではLH,FSHの過剰分泌があり,副腎由来の男性ホルモンが増加する場合があるが,わが国では増加を認めないことの方が多い.甲状腺機能低下症のとき,また肝疾患ではエチオコラノロンは高値となる.
- 先天性副腎皮質過形成のうち17α-水酸化酵素欠損症,Prader症候群では両者とも副腎由来の男性ホルモンの合成障害があり,エチオコラノロンは低値を示す.また,甲状腺機能亢進症のときにはエチオコラノロンは低値を示す.