各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- AⅠはレニンが酵素作用を発揮して,直接産生される物質であるために,PRA測定のためにRIAにて測定されるようになった.しかしながら,AⅠ自体の生理活性は少なく,また体内で速やかにアンジオテンシンⅡ(AⅡ)に変換されるために,血漿AⅠ濃度測定の臨床的意義は少ないと考えられている.すなわち,特殊な病態を除いては,PRAや血漿AⅡ濃度などのレニン・アンジオテンシン系活性の指標と同様な変動を示すとされている.したがって,近年汎用されているレニン・アンジオテンシン系阻害薬服用などを含めて,通常は本系の活性発揮にあたって律速段階とならないレニン基質,変換酵素,代謝酵素などに変化があった病態あるいは疾患の評価に必要となる場合がある.
- PRA,レニン濃度,アンジオテンシン変換酵素,PAC,さらに必要があれば血漿AⅡ濃度の測定を同時に実施し,本系の病態や疾患に果たす役割を評価する.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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高値 |
Addison病、 Bartter症候群、 Gitelman症候群、 アンジオテンシン変換酵素阻害薬、 ネフローゼ症候群、 レニン産生腫瘍、 悪性高血圧症、 褐色細胞腫、 肝硬変、 原発性選択的低アルドステロン症など、 高レニン性本態性高血圧症、 腎血管性高血圧症、 腎実質性高血圧症、 脱水、 低食塩食、 慢性心不全、 利尿薬
高レニン性本態性高血圧症,腎血管性高血圧症,悪性高血圧症,腎実質性高血圧症,褐色細胞腫,レニン産生腫瘍,Bartter症候群,Gitelman症候群,脱水,低食塩食,利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,肝硬変,ネフローゼ症候群,慢性心不全,Addison病,原発性選択的低アルドステロン症など |
低値 |
11β-水酸化酵素欠損症、 17α-水酸化酵素欠損症、 AME症候群、 DOC産生腫瘍、 Liddle症候群、 β遮断薬、 間質性腎炎、 偽性アルドステロン症、 原発性アルドステロン症、 高食塩食、 腎盂腎炎、 低レニン性本態性高血圧症、 糖質コルチコイド反応性アルドステロン症、 糖尿病腎症、 特発性アルドステロン症
高レニン性本態性高血圧症,腎血管性高血圧症,悪性高血圧症,腎実質性高血圧症,褐色細胞腫,レニン産生腫瘍,Bartter症候群,Gitelman症候群,脱水,低食塩食,利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,肝硬変,ネフローゼ症候群,慢性心不全,Addison病,原発性選択的低アルドステロン症など |
次に必要な検査 |
血漿レニン活性(PRA),血漿アルドステロン濃度(PAC)などの測定を行う.
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変動要因 |
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( 保嶋 実 )