『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- C2は補体の初期反応成分であり,古典経路を介して活性化され低下する.C4と類似の変動を示すため,古典経路の活性化の指標としては,血中量も多いC4が測定されることが多い.
- 慢性肝疾患などでは,産生細胞の機能低下によりC2は低値を示す.また採血後の試験管内において,血清を低温に保存するとC2,C4の蛋白量は変化しないが,活性が低下する補体cold activationがC型肝炎で高頻度に認められる.まれにC2欠損症が認められる.人種差があり,白人に高頻度に認められ,東洋人,黒人には少ない遺伝的疾患である.
- C5の活性化は補体の古典経路,第2経路,レクチン経路のいずれの活性化経路を経ても起こるため,C3と類似の動態を示す.しかし,C5転換酵素は抑制因子Iに不活化されるため,C5はC3よりも低下を示す頻度は少ない.逆に高値は炎症の際に認められる.
- C5欠損症は,蛋白欠損例と,蛋白は存在するが機能的に異常なC5機能不全症が知られている.後者ではC5の溶血活性や蛋白量は正常であるが,貪食作用が欠損している.反復する感染症(易感染性)を示すことが多い.
- C6欠損症では,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)やレイノー症状が認められる.
- C7欠損症では,レイノー症状や易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められる.
- C8欠損症では後期補体成分欠損と同じく,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められる.
- C9欠損症においても,易感染性(淋菌感染症,髄膜炎などグラム陰性球菌による感染症)が認められることが多い.日本人における補体成分欠損症のなかで,最も高頻度(1,000人に1人)に認められる.
- C9欠損症におけるCH50は正常人の約1/3を示すことが多いが,C9は急性期反応蛋白であるため,C9欠損症であっても,炎症性疾患合併の場合にはCH50は基準値~高値を示すこともある.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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高値 |
悪性疾患、 炎症性疾患
炎症性疾患,悪性疾患などで上昇するが臨床的意義は低い. |
低値 |
ループス腎炎、 悪性関節リウマチ、 遺伝性血管神経性浮腫(C1 INH欠損症)、 急性糸球体腎炎、 血清病、 自己免疫性溶血性貧血、 全身性エリテマトーデス(SLE)、 多臓器不全症、 播種性血管内凝固症候群(DIC)、 補体成分欠損症、 膜性増殖性糸球体腎炎
全身性エリテマトーデス(SLE),悪性関節リウマチ,播種性血管内凝固症候群(DIC),多臓器不全症,血清病,自己免疫性溶血性貧血,急性糸球体腎炎,ループス腎炎,膜性増殖性糸球体腎炎,遺伝性血管神経性浮腫(C1 INH欠損症),それぞれの補体成分欠損症,その他 次に必要な検査
補体成分欠損症を疑えば各補体成分活性の測定を行う.
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次に必要な検査 |
補体成分欠損症を疑えば各補体成分活性の測定を行う.
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( 竹村周平 )