『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 伝染性単核症や異種血清注射後に起こる血清病の患者血清中には,Paul-Bunnell(P-B;ポール・バンネル)抗体,Hanganutziu-Deicher(H-D;ハンガナチウ・ダイヘル)抗体および自然抗体であるForssman(F;フォルスマン)抗体の3種類の異好抗体があり,いずれもその対応する抗原がヒツジ赤血球膜上に存在する.したがって,伝染性単核症に疾患特異的であるP-B抗体の存在を証明するには,各抗原分布による吸収試験を実施する必要がある.
- 伝染性単核症は,1964年にEpsteinとBarrにより発見されたヘルペスウイルス科に属するEBウイルスの初期感染により発症する一過性の感染症であることが現在明らかにされている.学童期から青年期に現れ,高熱,全身リンパ節腫脹,単核球(白血球),異型リンパ球増多を特徴とする.
- P-B抗体は,発症第2週目頃から検出される伝染性単核症に特異的な異好抗体で,主にIgM抗体である.急速に第3週目頃にピークに達し,第5週目には急に低下あるいは消失するとされる.少数の例外を除けば白人のIMの診断には不可欠で,Paul-Bunnell反応の陽性率は80%以上とされているが,日本人のIM様患者血清では,陽性率は50~80%と低く,通常P-B抗体を含まず,H-D抗体とF抗体を含んでいる.
- Paul-Bunnell反応陽性は,異好抗体の存在を示し,Davidsohn吸収試験は,Paul-Bunnell反応陽性により検出された異好抗体を3種類(P-B抗体,H-D抗体,F抗体)に鑑別することが可能である.
- Davidsohn吸収試験では,通常P-B抗体は煮沸処理されたウシ赤血球で吸収され(日本人を含め東洋人では吸収されないことも多い),F抗体は煮沸処理されたモルモット腎(あるいはパパイン処理ヒツジ赤血球)で吸収され,H-D抗体は両者で吸収される特徴がある.各抗原は,いずれも100℃の煮沸に耐える糖鎖抗原であるため,吸収には煮沸処理した血球基質や組織沈渣を用いる.煮沸処理により組織中の酵素活性が不活化されるため,酵素による非特異的な影響を除外できる利点がある.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
陰性(224倍未満)
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陽性 |
ウイルス性肝炎、 サイトメガロウイルス感染症、 ヘルペスウイルス感染症、 マラリア、 関節リウマチ、 血清病、 伝染性単核症、 白血病、 溶血性貧血
伝染性単核症,血清病,白血病,ウイルス性疾患(ウイルス性肝炎,ヘルペスウイルス感染症,サイトメガロウイルス感染症など),関節リウマチ,溶血性貧血,マラリア |
次に必要な検査 |
( 大谷慎一 )