なかのやUクリニックは2018年6月、東京都あきる野市にあるJR五日市線秋川駅ほど近くに開院されました。開院当初ということもあり、現在1日当たりの外来患者数は10~25人。若い方からご年配の方まで幅広い年齢層の方が来院されています。現在、来院されている男性患者さんの3~4割は前立腺肥大症です。女性では約半数が過活動膀胱による頻尿、尿漏れです。
院長の仲野谷祐嗣先生は地域医療への貢献を目指し、患者さんへ丁寧な診察と分かりやすい説明を心掛けていらっしゃいます。開業前は公立阿伎留医療センター(以下、阿伎留医療センター)にて泌尿器科医として勤務しており、そちらでは透析の管理も行っていましたので、そこで積み上げてきた経験を活かし、自信を持って患者さんに接することを目指されているとのことです。
開業にあたっては、検査を外注するという方法もありますが、泌尿器科においては院内で尿検査を実施することは必須だと考えました。UF-5000を導入したのは尿検査においてヒューマンエラーを排除したいということが最大の理由でした。例えば、標本作製においてもスタッフが入れ変わってしまうと異なる結果が報告される可能性があります。オートメーション化するということは人が介入することに対して差が出ないようにすることです。UF-5000は全自動ですので尿検体を置いてボタンを押すだけです。遠心も標本作製も不要なので人の手の介入が少ない、つまりヒューマンエラー率が低いと感じました。この装置によって阿伎留医療センター勤務時とほぼ同等の検査結果が得られています。実際に使用するスタッフも簡便で使い勝手が良いと言っています。
また、処理時間の速さも魅力でした。検体の測定時間は約75秒ですので、患者さんの採尿から結果が報告されるまでにかかる時間は約5分と短時間です。患者さんに早く結果を返すことができるので、患者さんを長くお待たせする必要がありません。
現在は研究項目※ですが、細菌グラム染色性情報が抗生剤選択の際に活用できることを期待しています。当院では初診時のスクリーニングの一環でUF-5000を使用しますが、その中で細胞や細菌グラム染色性情報が参考になると考え、今後に期待しています。また、培養検査や細胞診検査を外注に出すか否かの判断材料としても活用できれば大変助かりますね。
他にも、若い世代から中高年齢層の膀胱炎や尿道炎といった尿路性器感染症にはUTI情報を、血尿に関してはどの年齢層においても赤血球形態情報が参考になることが期待されます。実例として、当院の血尿検体の中でUFの赤血球形態情報をもとに再精査した結果、最終的に膀胱がんと診断された方がいました。将来的には初診時のスクリーニングにおけるUF-5000の研究項目情報の臨床活用が可能となればうれしいですね。細胞診検査や生検などによって確定診断を行いますが、UF-5000はそのための外堀を埋める役割を担っているという印象です。UF-5000の結果と膀胱鏡による目視によってほぼ確定診断に近い形で紹介できることが大きいと思います。
※本項目は研究用項目であり、診断に用いることはできません。