尿沈渣は全てUF-1500で実施しています。装置と鏡検の相関データは取得していませんが、メーカーの基礎性能データにて問題ないことを確認し、UF-1500のデータを信頼して使用しています。UF-1500にはBACT-Info.(細菌グラム染色性情報)※2という研究用情報がありますが、今後、鏡検や培養結果との一致率を確認したいと考えています。
急性単純性膀胱炎の治療ガイドが改定され、グラム陰性桿菌とグラム陽性球菌の両方に効果のあるクラブラン酸(CVA)/アモキシシリン(AMPC)が第一選択として推奨されていますが、当薬剤の濫用は薬剤耐性菌の発生を高める可能性がありますので、原因菌を推定したうえで、薬剤を選択したいと考えています。炎症の原因がグラム陰性桿菌であれば、安価で耐性化リスクの低いセフェム系の薬剤で十分対応が可能だと考えています。当院に膀胱炎の患者数はかなり多いため、陽性率や迅速に目安をつけられる運用を模索しているところです。
研究用項目である異型細胞等※2や赤血球形態に関する情報(大型赤血球と小型赤血球)※2の測定項目化に期待しています。赤血球の大きさについては、泌尿器科で遭遇する血尿では赤血球が一律に大きく微量であれば臨床上は大抵問題無い場合が多い。また糸球体からの出血であれば赤血球は小さく多彩性があり、腎臓内科的疾患を疑わなくてはならない、というのを私は鏡検を実施していた際に実感して注視していたからです。そのような情報を測定項目としてある程度正確に出せるようになれば、装置の価値が向上すると思います。
※2:本項目は研究用情報であり診断に用いることはできません。