医師 宮田俊男に学ぶ「知っトク!診療所経営のあれこれ」
診療報酬改定
2024.06.21
令和6年度診療報酬改定 診療所への影響は?
①概要とポイント
2024年4月、令和6年度診療報酬改定が発表されました。本年の改定は6年に一度のトリプル改定であり、基本方針として人材確保、働き方改革の推進、医療DXの推進などが掲げられています。第1回は、宮田先生に今回の改定の概要とポイントについて解説していただきました。
令和6年度診療報酬改定をみて、全体としてどのような印象をお持ちですか。
今回の診療報酬改定は表面上プラス改定ですが、実質的にはマイナスに近い改定となりました。病院、診療所双方にとってかなり厳しいものになったと考えています。
まず、看護師や薬剤師といった医療従事者の賃金を上げなければならないということで、初診や再診、入院時にかかる基本的な診察料を引き上げました。しかし、開業医においてはこれまで月2回まで算定できた「特定疾患療養管理料」に大きなメスが入り、病院においても急性期病棟には在院日数の短縮、看護必要度の見直しなどの要件が厳しくなっています。
こうした状況で収入を伸ばしていくのは、非常に難しいでしょう。さらにその中で人件費を上げていかなければならないため、どこの病院、診療所もどうするべきか、試行錯誤しているのではないでしょうか。
通常、医療法人の職員の賃金は1年間の業績を見て検討します。しかし、今回は診療報酬改定のタイミングで賃金を上げなければなりません。改定で収益がプラスになるのかどうか見えない段階で上げるわけですから、経営者泣かせの改定と言えると思います。
令和6年度診療報酬改定の基本方針の概要
出典:厚生労働省 「令和6年度診療報酬改定説明資料等について」
今回の診療報酬改定は6年に一度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬とのトリプル改定になりますが、どのような意図が見られるでしょうか。
介護施設における在宅医療の往診回数などは令和4年度に厳しい改定がなされた後でしたので、今回の改定は想定内の内容だったと思います。ICTの活用という点においては、医療職と介護職の情報共有を実施した医療機関に新たな加算が付くことになりました。厚生労働省としては、医療DXの推進により医療や介護サービスを効率的に提供できる体制にすることが目的だったと思います。
確かにこうした加算は付きましたが、そうした体制は1〜2カ月でできるものではありません。施設の多くはどのようにしたら早期で対応できるのか、検討することになります。さらにそうしたICTに対応できる人材の育成という問題もあります。
今回の診療報酬と介護報酬の改定は一部を除いて、6月の施行となりました。急ピッチで進めなければなりませんが、対応できない施設が出てくることも考えられます。今回はどちらの改定も厳しいので、今、現場は医療DXの整備に急いでいると思います。
当然、医療DXの整備には設備投資がかかります。賃金アップと同様、それを先の見えない状況で行うには、様々な状況を見た上での判断が必要とされるでしょう。医療も生き残りが難しい時代になっていると思います。
今回の改定は開業医の方々にどのようなことが求められているのでしょうか。
今回の改定は、これまでのように多くの患者さんを診療することによって報酬が付いてくるというものではありません。
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