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2026.03.19

健康寿命を延伸するための予防医学から先制医療へ~臨床検査医の視点~

著者高橋伯夫

Hakuo Takahashi M.D

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はじめに

「予防医学」と「先制医療」。どちらも「病気を防ぐ」という点では同じ方向に向く言葉ですが、そのアプローチの「鋭さ」と「タイミング」に決定的な違いがあります。例えて言うと、予防医学(Preventive Medicine)は「天気予報からこの地域で雷があるかもしれないので建物や車内に避難しましょう」であり、先制医療は「君の頭上にだけ雷雲が近づいているから、被雷しないように今すぐ近くのシェルターに入ろう」という違いです。更に、具体的に解説しますと、予防医学では、対象が集団で、統計や疫学的なエビデンスを根拠にて生活習慣の改善、ワクチン接種、検診などを実施し、健康な時期から住民を集団で指導していく手法です。他方、先制医療では、対象はハイリスクな個人であり、個人から得られる生体サンプル(血液、尿、その他の体液、組織)からバイオマーカー、ゲノム解析などを実施して、疾病の発症前に、そのリスクを評価して、それを回避するための手段(生活習慣の修正や要因が明確であれば、それに対する標的治療)を実施するものです。

このように、これまでは「病気になってから治す」でしたが、「病気になる前に予測して防ぐ」、 そのような魔法のような話が、現代医療では「先制医療(Preemptive Medicine)」という言葉で表現され、そのことが現実になりつつあります。そして、この先制医療において、疾病を予測する、いわば「高性能な羅針盤」の役割を果たしているのが広い意味での臨床検査で、この研究分野が急拡大しているのです。しかし、急激な変化は、多少とも危険性を孕んでいます。今回は、私たちの未来の健康を守る臨床検査の最前線について、臨床検査医の立場からお話しします。{図1}

図1 図1.png

1.先制医療とは?(従来の医療との違い)

これまでの医療は、症状が出てから診断し、治療を始める「対症療法」が中心でした。しかし、がん、アルツハイマー病、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、虚血性心臓病などの非感染性疾患・慢性疾患は、自覚症状が出たときにはすでに進行していることも少なくありません。したがって、脳卒中や心筋梗塞の発症予防のために、これまでは予防医学として集積してきた疫学的な知見(エビデンス)と治療経験(大規模臨床試験や第4相臨床試験など)をベースにして集団を指導し、非薬物治療や薬物治療を推進してきています。本邦では、疾病に至る前の段階にあるメタボリックシンドロームを標的にして、それを洗い出す特定検診が実施されているのは周知です。他方、先制医療は、個人の遺伝情報やバイオマーカー(生体内の構成成分の増減や疾病に際して産生されるごく微量な分子など)を解析することで、個人が将来かかる可能性の高い病気を予測し、発症前に介入(治療や予防)を行う医療のことです。

2.臨床検査(ゲノム解析を含む)が果たす決定的な役割

先制医療において、臨床検査は「検診結果での数値のチェック」を遥かに超える意味があります。

① 超早期に疾病の「予兆」を捉えるリキッドバイオプシー(液体生検)

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