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ナトリウム(尿)

ナトリウム(尿)

別名 Na(尿)

臨床的意義

  • 臨床的に脱水症(循環血漿量の減少)がみられるときに検査する.
  • 24時間尿中に排泄されたNa量は一般には摂取したNa(主として食塩による)と同量のNaが尿中に排泄され,健常人であれば血中Naの恒常性維持が行われていることによる.
  • 尿中Na単独でわかる病態は少なく,血中Na,他の電解質,必要に応じて副腎皮質ホルモンの測定が行われる.ただし,他の検体検査,画像診断が一般化した現在,検査の頻度は減少している.
  • 尿中Naは有効循環血漿量が減少しているか否か,生体で水・Naの不均衡が生じていないかどうかの判定に有用である.
  • 臨床的には低Na血症が欠乏性か希釈性かの鑑別に用いられ,また急性腎不全が腎前性か腎性かの鑑別に効果的である.
  • Na欠乏症によるものであれば尿中Naは15~20mEq/lと減少がみられ,副腎皮質不全,間質性腎炎,利尿剤乱用,Bartter症候群によるものでは15~20mEq/l以上を呈する.
  • また急性腎不全が腎前性(脱水,出血などが起因)であればNa再吸収が高まるため尿Naは20mEq/l以下を示し,腎性(急性尿細管壊死などに起因)であればNa再吸収ができないため20mEq/l以上を示す.
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基準値・異常値

基準範囲
80~250mEq/day,4~6g/day
変動要因
高値

食塩の過剰摂取以外ではみられない.

低値

欠乏性低Na血症、  循環血漿量の減少(脱水)、  続発性アルドステロン症

欠乏性低Na血症(消化管・腎からの喪失),続発性アルドステロン症(慢性消耗性疾患,重症心不全,非代償性肝硬変ネフローゼ症候群など),循環血漿量の減少(脱水).なお,原発性アルドステロン症では近位尿細管でのNa再吸収抑制(エスケープ現象)が起こるため,尿中Naは低値とならない.

次に必要な検査
原疾患(腎,内分泌,心,肝)の検査が重要.
変動要因
  • 古くより尿中Na濃度は300mEq/lを超えないといわれる.これを超える高値のとき,測定技術誤差,尿中への消毒剤の混入などが考えられる.
  • 異常低値は蓄尿への水道水の混入なども無視できない.
( 伊藤機一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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