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脳血管障害

別名 cerebrovascular disease

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

●診断
  1. 脳血管障害の診断は,問診と臨床症状でほぼつけられる.病型診断には,発症様式が重要である.
  2. 病型別では,脳梗塞が約 7 割,脳出血が約 3 割で,脳出血は減少傾向である.
  3. CT は病型診断,手術や急性期線溶療法の適応の判断目的で施行する.
  4. 他の検査は除外診断と全身状態の把握目的で行う.最低限低血糖は除外せよ.
  5. 高齢者が立てなくなった場合,明らかな巣症状がなければ他疾患も考えるべきである.

●CT
  1. 出血では発症直後から高吸収域を,梗塞では数時間以上後になってから低吸収域を認める.
  2. 脳血管障害各病型の好発部位を念頭におき,左右差やまわりの mass effect に注意しながら読影する.

●MRI
  1. MRI を CT に加えて行う意義は,脳梗塞の早期診断とテント下病変の診断と脳血管撮影の3 つである.
  2. 脳梗塞の場合,急性期に CT 所見が現れる(通常 24 時間以降)よりも前に,MRI に所見が現れ治療選択の根拠となりうること,CTでは診断困難な虚血巣が診断できることである.
  3. T1 強調画像,T2 強調画像に比べ,拡散強調画像では,発症後早期から梗塞巣の診断が可能である.
  4. 通常の動脈穿刺して行われる脳血管撮影と異なり,造影剤も使わず無侵襲で脳血管のスクリーニング評価ができることが,MRA の長所である.

●手術
  1. 施設の性格にもよるが一般病院の場合,手術適応がありうるのは,脳出血患者の5~10%程度とそれほど多いものではない.
  2. 脳血管障害の 7 割を占める脳梗塞には,急性期の血流再開を意図した開頭手術適応はない.血管内手術として発症後 3~6 時間以内の中大脳動脈塞栓性閉塞に経動脈的な選択的局所血栓溶解術が推奨される.
  3. 手術適応を決める主な因子は,意識レベル,年齢・全身状態,診断である.脳外科医に相談する前に評価すること.
  4. 手術適応には幅があり,脳外科施設により多少異なるので,判断に迷ったら脳外科医に相談すること.

●急性期の内科的治療
  1. 保存的治療には,各病型に応じた治療と各病型に共通する治療とがある.後者には,脳血管障害に対する治療と全身管理,合併症に対する治療などが含まれる.また,脳卒中病棟(stroke unit:SU)による生命予後改善,QOL 改善効果の evidence は確立しているので,普及が望まれる.日本脳卒中学会など 5 学会が合同して「脳卒中治療ガイドライン」(2004)を作成し,発表している.

●外来管理
  1. 脳血管障害患者の外来管理では,①脳血管障害そのものに関する治療,②再発予防,③合併症の治療などが必要となる.
  2. ①として,脳代謝改善薬,脳循環改善薬,②として危険因子の把握とコントロール,抗血栓療法(抗血小板療法,抗凝固療法),③として廃用症候群,痙攣,痙性,虚血性心疾患について述べる.

●リハビリテーション
  1. 廃用症候群は,例外なくすべての患者で毎日進行していく.1 日でも早いリハビリテーションの開始が,廃用症候群の防止には不可欠である.
  2. どのような内容の訓練をどの時期から始めるのかは,リハビリテーションに詳しい医師のほうが的確に判断できるので,リハビリテーション科への相談は入院した日に(遅くとも数日以内に)するほうがよい.
  3. 1カ月以上の本格的リハビリテーションの対象となるのは,軽症と超重症の脳血管障害を除く患者で全体の約半数である.院内にリハビリテーション部門がない場合には,本格的リハビリテーションの適応と判断したら,早めにリハビリテーション部門のある病院への転院を手配する.転院まで嚥下訓練,坐位訓練など基本的リハビリテーションを施行しておく.
  4. 重度要介護で本格的リハビリテーション適応に乏しい場合でも,身体障害者手帳や在宅介護支援センター,介護保険などの社会資源の活用をすることが重要である.
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行うべき検査

①血液検査
他疾患の除外,合併症の評価目的で行う.血算,血糖,TP,Alb,AST,ALT,LDH,CPK,BUN,Cr, Na,K,Cl,Ca,アンモニア,CRP,血液ガス分析などを行う.
②胸部 Xp
基礎に高血圧や塞栓源となる弁膜症など心疾患があれば心拡大を認める.
③心電図,モニター
脳血管障害の患者では,6~7 割の患者で何らかの心電図異常所見を認める.来院時に洞性であっても,発症様式で塞栓が疑われる場合には,モニターをつけて経過観察中に,発作性の心房細動が検出されることがある.まれに心筋梗塞と脳卒中を同時に(あるいは前後して)発症する心脳卒中という病態もみられる.心電図異常(約半数にみられる)があれば,心エコーを実施し,左房・左室の拡張や弁の異常の有無を検索する.
④CT
脳梗塞と出血,くも膜下出血の鑑別,脳腫瘍や慢性硬膜下出血の除外目的で行う.脳梗塞を疑い初日の検査で低吸収域を認めない場合,2~3 日後に再検査する.
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