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前立腺肥大症

略称 BPH
別名 benign prostatic hyperplasia

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 前立腺肥大症(BPH)の概念は時代とともに大きく変遷し,以前は BPH による下部尿路が閉塞し,水腎症や腎後性腎不全など状況によっては生命を脅かす疾患と考えられてきたが,現在では健康意識の向上により比較的軽症な患者も受診し多様化しており,下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)により高齢男性の生活の質を落とす QOL 疾患として位置付けられる.
  2. BPH に対する薬物療法は多様化しており,α1遮断薬を中心に投与できる薬剤も多様化しており,個々の病態に応じた投薬の組み合わせが求められる.
  3. 投薬加療で症状が落ち着けば継続もしくは休薬を考え,症状の改善がなく悪化を認める場合には手術を考慮する.
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診断

 脳・脊髄疾患,神経疾患,糖尿病,直腸癌などの骨盤内手術,骨盤内放射線治療,尿路結石,肉眼的血尿などの既往や合併,服用薬剤を聴取し,神経因性膀胱,尿路結石,膀胱癌,薬剤性LUTSの可能性を除外する.
①身体所見
 側腹部,下腹部,骨盤部,外陰部の診察を行う.疼痛や下腹部の膨隆に注意する.直腸診は必須であり,BPH では全体が腫大し中心溝は消失し,弾性硬を示す.左右どちらかに硬結や石様硬の所見があれば前立腺癌を疑いPSA(prostate-specific antigen)を測定する.
②尿検査
 血尿の存在は尿路結石(BPH により発生する膀胱結石も含む)や膀胱癌の,膿尿存在は尿路感染の可能性を示唆する.
③血清PSA
 一般的に4 ng/mL 以上が異常値とされるが,癌,肥大症,前立腺炎でも上昇し年齢とともに上昇もするので鑑別が必要となる.また尿閉時は上昇するので後日測定する.
④排尿日誌
 頻尿,夜間頻尿の著明な症例に有用である.夜間尿量が33%以上を夜間多尿とする(http://www.luts.gr.jp/pdf/bladder_diary.pdf).
⑤下部尿路症状の定量化
 LUTS はIPSS を用いる.昼間頻尿・尿意切迫感・夜間頻尿(蓄尿症状),尿勢低下,腹圧排尿(排尿症状),残尿感(排尿後症状)の7 つのLUTS の頻度を0 点(全くない)から5 点(ほとんどいつも)までの6 段階に評価し,これらの合計点を算出する(表1 参照;軽症0~7 点,中等症8~19 点,重症20~35 点).
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表1 国際前立腺症状スコア(IPSS)
表はPC版サイトをご覧ください
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