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過敏性肺炎

別名 hypersensitivity pneumonia

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 過敏性肺炎は,その発症様式とメカニズムにより急性,慢性過敏性肺炎(再燃症状軽減型・潜在性発症型)に分類される.
  2. 急性過敏性肺炎は環境性抗原や職業性抗原の吸入を繰り返すうちに特定の物質に感作されて,感作リンパ球と特異抗体が抗原吸入の際に肺で免疫反応を起こし,細気管支周囲などに肉芽腫性病変を形成するアレルギー性炎症である.
  3. 慢性過敏性肺炎は,感作リンパ球と特異抗原の反応が主体で肉芽腫性病変は認められず,徐々に小葉中心性の炎症と線維化による肺胞構築の改変が起こるため,進展例では特発性肺線維症と区別が困難である.
  4. 急性過敏性肺炎は臨床像と CT 所見が特徴的で比較的診断が容易であるが,慢性過敏性肺炎は特発性間質性肺炎(特に特発性肺線維症)と鑑別が困難な場合もあり,生活歴,職業歴などの問診を十分に行うとともに,経気管支肺生検で鑑別が困難な場合は開胸肺生検も検討する.
  5. 急性過敏性肺炎は抗原回避のみで軽快する症例もあり,環境改善が重要となるが,症状が強い場合は経口ステロイド内服を行う.
  6. 慢性過敏性肺炎は再燃症状軽減型では抗原回避のみで改善する場合もあるが,潜在性発症型では改善しない.抗原回避の成否が予後に直結するためきわめて重要で,経過観察で進行する場合は経口ステロイド内服(または免疫抑制剤の併用)を行う.
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検査

①採血
 急性(亜急性を含む)過敏性肺炎では,白血球数の増加,左方移動,CRP やLDH の増加,血沈の亢進を認める.また,夏型過敏性肺炎では血清中抗Trichosporon抗体が陽性となる.
 慢性過敏性肺炎の再燃症状軽減型では白血球,CRPの軽度の増加,血沈の軽度の亢進を認め,KL-6,SP-D,SP-A が上昇することが多く,リウマチ因子が30%程度で陽性を示す.潜在性発症型は白血球,CRPの増加を認めず,血沈の軽度の亢進,KL-6,SP-D の上昇を認め,約30%の症例でリウマチ因子を示す.潜在性発症型ではCRP は正常範囲内で,血沈は軽度の亢進,KL-6,SP-D の上昇を認め,約40%の症例でリウマチ因子や抗核抗体陽性を示す.
 血液ガス分析では,予備能の低下が軽度の場合は安静時に低酸素血症を認めないこともあり,労作時のSpO2も検索する必要がある.
②胸部単純Xp
 急性(亜急性を含む)過敏性肺炎では斑状ないしびまん性のすりガラス陰影,網状粒状影,浸潤影を認めるが,容積減少は認めない.
 慢性過敏性肺炎ではびまん性のすりガラス陰影,線状影,網状影に加えて牽引性気管支拡張,蜂巣肺,容積減少などの肺胞の構築改変を示唆する所見を認める.
③胸部CT
 急性(亜急性を含む)過敏性肺炎では,小葉中心性の粒状影,すりガラス陰影やすりガラス状結節(ground glass nodule:GGN),小葉間隔壁の肥厚,気管支肺動脈束の腫大などを認める.また,肉芽腫性病変が形成される終末細気管支が狭窄することで末梢がair trapping により過膨張部分がモザイク状に出現して,mosaic attenuation pattern を呈することも参考になる.
 慢性過敏性肺炎では胸膜直下にsubpleural curvilinear line や牽引性気管支拡張,蜂巣肺やその周囲のすりガラス陰影,consolidation など肺の線維化や構築改変を示唆する所見を認め,蜂巣肺にこれら種々の陰影を伴うことがひとつの特徴である.
④呼吸機能検査
 急性(亜急性を含む)過敏性肺炎の初期には終末細気管支の狭窄を反映して閉塞性換気障害を認める場合もあるが,受診する時期にはある程度進行しているために拘束性換気障害を呈する(混合性換気障害となる場合もある).また,肺拡散能は早期から低下する.
 慢性過敏性肺炎では拘束性換気障害と肺拡散能の低下が認められる.
⑤気管支鏡
 気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)は,急性(亜急性を含む)過敏性肺炎ではリンパ球の増加(50~90%)が認められ,CD4/CD8 比率は1 未満に低下するが,農夫肺では3~4以上に上昇する.なお,抗原曝露後,24時間以内の超早期ではBALF は好中球の増加(30~60%)を認める.
 慢性過敏性肺炎では総細胞数の増加,リンパ球の増加は軽度で,一般的にはCD4陽性リンパ球の増加によりCD4/CD8 比率が上昇する症例が多く,CD4陽性リンパ球の増加はCT や病理組織学上で線維化が強い傾向を示すことが知られている.再燃症状軽減型は潜在性発症型に比して総細胞数,リンパ球ともに多くなり,CD4/CD8比率は低くなる傾向を示す.
 経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)は,急性型ではリンパ球浸潤による胞隔炎,類上皮細胞による壊死を伴わない肉芽腫およびMasson小体が特徴的である.慢性型では非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)に類似したリンパ球などによる肺胞壁への炎症細胞浸潤,線維化などが小葉中心性に認められ,進行すると小葉辺縁部での線維化も目立つため通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)との鑑別が難しくなる.
 TBLB で鑑別が困難な場合は,開胸肺生検を検討する.
⑥環境誘発試験・抗原吸入誘発試験
 急性(亜急性を含む)過敏性肺炎は,環境誘発によって短期間で症状の再燃などを認める.
 慢性過敏性肺炎では環境に戻って1カ月以上の経過が必要となる場合がある.潜在発症型では判定が困難な場合や抗原吸入誘発試験にのみ陽性を示す場合あり,疑った場合は誘発試験を行わず,可能な限りの抗原回避で対応することが多い.
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