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膵嚢胞性腫瘍(IPMN/MCN)

別名 cystic neoplasms of the pancreas

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 膵嚢胞は,臨床的には腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分類される.
  2. 膵の嚢胞性変化は,腹痛や背部痛を契機に指摘されることもあるが,多くは健診や他疾患の経過観察中に偶然指摘されることが多い.
  3. 画像検査で膵に嚢胞を認めた場合,非腫瘍性か腫瘍性かの判断をまず行い,腫瘍性(嚢胞性腫瘍)と思われればさらに鑑別を進める.
  4. 頻度的にもっとも多い嚢胞性腫瘍はIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)であり,ついでMCN(粘液性嚢胞腺腫),SCN(漿液性嚢胞腺腫)が続く.
  5. 充実性膵腫瘍であっても,出血や壊死等で一部が嚢胞化すると嚢胞性腫瘍に類似した画像所見を呈することがある.
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診断

 膵嚢胞が認められた場合,まず単房性か多房性かを区別する.単房性膵嚢胞の多くは膵炎に続発した仮性嚢胞か,特に原因のない単純嚢胞であるが,中枢側になんらかの膵管狭窄機転があって発生した嚢胞(貯留嚢胞)もある.これらの鑑別にはMRCP(MR cholangiopancreatography)と膵をターゲットにした多相の造影CT が有用であり,膵嚢胞が指摘された場合禁忌がなければこれらの検査を施行する.これらの画像所見で嚢胞以外に異常がなければ経過観察でよいが,貯留嚢胞の原因となるような膵癌がこれらの画像検査で指摘し得ない可能性はある.
 多房性膵嚢胞の場合,頻度的に最も多いものはIPMN である.典型的なIPMN は,大小多数の嚢胞の集簇で成立しており,「ブドウの房」と表現され,MRCP を撮影することでほとんどの症例で診断可能である.MCN は,膵尾部にのみ発生し,大小多数の嚢胞の集簇で成り立つという点はIPMN と同様であるが,全体を被覆する厚い被膜が特徴である(「ミカン」様と表現される).IPMN と異なり,ほぼ全例女性に生じ,卵巣様間質を伴うという組織学的な特徴を有する.SCN はさらに稀な嚢胞性腫瘍で嚢胞のサイズは大小さまざまである.小嚢胞が集簇したタイプ(microcytic)では診断は比較的容易であるが,大小の嚢胞が混在するものでは,IPMN やMCN との鑑別は困難である(漿液性のため,T2 強調像で著明な高信号を呈するのが特徴とされる).
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