糖尿病細小血管障害
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
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Clinical Chart
●糖尿病神経障害(diabetic neuropathy)
- 糖尿病末梢神経障害と自律神経障害に 2 分され,軽度の神経障害も含めると糖尿病患者の多くに認められる.
- 高血糖の持続により悪化するタイプのほかに,血糖コントロール開始後に自覚症状が出現・増悪する治療後神経障害がある.
- 臨床的に重要な末梢神経障害は,①両下肢の有痛性末梢神経障害,②動眼神経や顔面神経などの単神経障害である.
- 臨床的に重要な自律神経障害は,①胃・腸の機能低下,②膀胱機能障害(低緊張性膀胱),③起立性低血圧,④勃起障害(ED)であり,そのコントロールは血糖コントロールのうえでも,社会生活のうえでも重要である.
- 一度発症すると治療には単神経障害を除き難渋することが多い.
- 原則的には眼科医に定期診察を依頼する.
①正常から単純網膜症初期:年 1 回.
② 単純網膜症の中期以降:3~6 カ月に 1 回.
③ 増殖前網膜症以降:1~2 カ月に 1 回. - 2 型糖尿病では,診断がついたとき,または治療開始時に必ず眼科診察を行う.
- 単純網膜症では,血糖コントロール,高血圧の治療などで増殖網膜症への進行を阻止できる.
- 増殖前網膜症と早期増殖網膜症では失明予防目的に光凝固療法を行う.
- 硝子体出血と網膜剥離は硝子体手術で対応する.
- 糖尿病腎症は,他の糖尿病合併症と同様に発症予防が最もよい「治療法」である.厳格な血糖,血圧管理は,発症進展を抑制する.
- 早期腎症は,微量アルブミン尿の段階では治癒が望めるが,それより進行した例では治癒は望めない.発症後は,蛋白制限食,血圧・血糖コントロールなどによりできるだけ進展を遅らせるよう努める.
- 早期腎症の診断は微量アルブミン尿の出現によって行う.そのため,少なくとも年 1 回は尿中アルブミンの測定を行う.
- 糖尿病腎症の治療の柱は,血糖コントロール,血圧コントロール,減塩,蛋白制限食である.
- 糖尿病腎症に合併した高血圧治療には,ACE 阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を用いる.
- 糖尿病腎症では進行するとネフローゼになるため,血清 Cr 5 mg/dL 台で血液透析導入が必要になることが多い.
- 1998 年以降糖尿病腎症は新規透析導入原因の 1 位となった(2012 年の新規透析導入は糖尿病腎症が 44%,約 16,000 人であった).
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診断
1.糖尿病神経障害
[診断](表1)
糖尿病神経障害に特異的な症状や検査は存在せず,診断基準も確立していない.糖尿病性神経障害を考える会の診断基準は妥当性が高く,日常診療に使用しうる.自覚症状,糖尿病歴,アキレス腱反射の低下・消失,振動覚低下,呼吸負荷心電図(深呼吸をしながら心電図をとり,RR 間隙の呼吸性変動をみる)などを行う.
3.糖尿病腎症
[診断]
①尿中アルブミンが表1 の条件を満たしたとき,早期腎症と診断する.
②尿蛋白量増加,GFR低下にしたがって腎症の病期が分類される(表2,3).
[診断](表1)
糖尿病神経障害に特異的な症状や検査は存在せず,診断基準も確立していない.糖尿病性神経障害を考える会の診断基準は妥当性が高く,日常診療に使用しうる.自覚症状,糖尿病歴,アキレス腱反射の低下・消失,振動覚低下,呼吸負荷心電図(深呼吸をしながら心電図をとり,RR 間隙の呼吸性変動をみる)などを行う.
3.糖尿病腎症
[診断]
①尿中アルブミンが表1 の条件を満たしたとき,早期腎症と診断する.
②尿蛋白量増加,GFR低下にしたがって腎症の病期が分類される(表2,3).
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- 表1 糖尿病腎症の早期診断基準(糖尿病性腎症合同委員会2005)
- 表はPC版サイトをご覧ください
- 表2 糖尿病腎症病期分類(2013 年改訂)
- 表はPC版サイトをご覧ください
- 表3 糖尿病腎症病期分類(改訂)とCKD 重症度分類との関係
- 表はPC版サイトをご覧ください