筋ジストロフィー
別名 | muscular dystrophy |
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690)
Clinical Chart
- 筋ジストロフィーは骨格筋の変性,壊死を生じる遺伝性疾患である.筋力低下と筋萎縮を生じ,進行性に経過する.有病率は人口 10 万人あたり約 5 人である.
- 筋ジストロフィーの中で,ジストロフィン遺伝子異常が原因であるジストロフィノパチーがその約 55%を占める.
- いずれの筋ジストロフィーも根治療法はない.栄養・嚥下機能・心肺機能の管理,関節拘縮に対する対策,社会・心理的支援が重要である.呼吸管理などの改善により,最も重篤であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの平均寿命は以前の 18 歳から現在は 30 歳を超えるまでに延長している.
- 平成27年7月1 日より,筋ジストロフィーは難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)の指定難病に加えられ,医療費の公的助成を受けることができる.
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検査
1.ジストロフィノパチー(dystrophynopathies)
1)デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD),ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)
[検査]
①血液検査では CK 値の中等度~高度の上昇を認める.
②筋電図で,筋原性変化を認める.
③骨格筋の CT と MRI にて,大臀筋,大腿部,下腿部の筋群の脂肪変性による所見を認める.
④筋生検では,<病理>の所見がみられる.生検筋について,ジストロフィン蛋白のイムノブロット法も行われる.
⑤遺伝子検査にて,DMD・BMD の大部分の症例について DMD の欠失,重複,ミスセンス変異のいずれかが検出される.
⑥心機能評価のために,心電図,心エコー,ホルター心電図,心臓 MRI,心筋シンチ,脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)を適宜実施する.呼吸機能については,呼吸機能検査,覚醒時・睡眠時の酸素飽和度,咳嗽時の最大呼気フロー,経皮炭酸ガス分圧,呼気終末炭酸ガス分圧の評価が行われる.
2.ジストロフィノパチー以外の筋ジストロフィー
1)顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHMD)
[検査]
①血液検査
CK は正常または軽度上昇
②筋電図,筋生検
筋原性の変化を認める.ジストロフィンの欠損はない.
2)肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)
[検査]
①血液検査
CK 値の上昇
②筋電図
筋原性変化を認める.
③筋生検
変性,壊死,再生などのジストロフィー性変化を示す.ジストロフィン免疫染色は陰性.病因遺伝子によっては免疫組織化学的に病型診断が可能である(ラミノパチー,カベオリノパチー,サルコグリカノパチー,カルパイノパチー,ジスフェルリノパチー,ジストログリカノパチー).
3)筋強直性(筋緊張性)ジストロフィー(myotonic dystrophy)
[検査]
①血液検査
CK は軽度~中等度の上昇を示す.血清γグロブリン低下,耐糖能異常,高血糖を認める.心電図で心伝導障害を示す所見(房室ブロック,洞不全症候群など)を認めることがある.また,呼吸機能検査では,換気障害を認める例がある.骨格筋の CT,MRI では筋萎縮と脂肪組織の増加を認める.
②筋電図
筋原性変化を認める.針電極を骨格筋に刺入した際に,myotonic discharge(ミオトニー放電:針電極の刺入後に,音としてスピーカーから急降下爆撃音として聴取できる)が記録される.
③遺伝子診断
家族の遺伝子診断を行うにあたっては,遺伝子カウンセリングを行い,十分なインフォームドコンセントが必要である.
1)デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD),ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)
[検査]
①血液検査では CK 値の中等度~高度の上昇を認める.
②筋電図で,筋原性変化を認める.
③骨格筋の CT と MRI にて,大臀筋,大腿部,下腿部の筋群の脂肪変性による所見を認める.
④筋生検では,<病理>の所見がみられる.生検筋について,ジストロフィン蛋白のイムノブロット法も行われる.
⑤遺伝子検査にて,DMD・BMD の大部分の症例について DMD の欠失,重複,ミスセンス変異のいずれかが検出される.
⑥心機能評価のために,心電図,心エコー,ホルター心電図,心臓 MRI,心筋シンチ,脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)を適宜実施する.呼吸機能については,呼吸機能検査,覚醒時・睡眠時の酸素飽和度,咳嗽時の最大呼気フロー,経皮炭酸ガス分圧,呼気終末炭酸ガス分圧の評価が行われる.
2.ジストロフィノパチー以外の筋ジストロフィー
1)顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHMD)
[検査]
①血液検査
CK は正常または軽度上昇
②筋電図,筋生検
筋原性の変化を認める.ジストロフィンの欠損はない.
2)肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)
[検査]
①血液検査
CK 値の上昇
②筋電図
筋原性変化を認める.
③筋生検
変性,壊死,再生などのジストロフィー性変化を示す.ジストロフィン免疫染色は陰性.病因遺伝子によっては免疫組織化学的に病型診断が可能である(ラミノパチー,カベオリノパチー,サルコグリカノパチー,カルパイノパチー,ジスフェルリノパチー,ジストログリカノパチー).
3)筋強直性(筋緊張性)ジストロフィー(myotonic dystrophy)
[検査]
①血液検査
CK は軽度~中等度の上昇を示す.血清γグロブリン低下,耐糖能異常,高血糖を認める.心電図で心伝導障害を示す所見(房室ブロック,洞不全症候群など)を認めることがある.また,呼吸機能検査では,換気障害を認める例がある.骨格筋の CT,MRI では筋萎縮と脂肪組織の増加を認める.
②筋電図
筋原性変化を認める.針電極を骨格筋に刺入した際に,myotonic discharge(ミオトニー放電:針電極の刺入後に,音としてスピーカーから急降下爆撃音として聴取できる)が記録される.
③遺伝子診断
家族の遺伝子診断を行うにあたっては,遺伝子カウンセリングを行い,十分なインフォームドコンセントが必要である.
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