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周期性四肢麻痺

別名 periodic paralysis

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 発作性に四肢筋の可逆性,弛緩性麻痺を生じ,対麻痺,四肢麻痺を起こす筋疾患である.呼吸筋は保たれる.一部の症例は慢性進行性のミオパチーを生じる.
  2. 発作時の血清カリウム値により,低カリウム性周期性四肢麻痺(hypokalemic periodic paralysis)と高カリウム性周期性四肢麻痺(hyperkalemic periodic paralysis)がある.原発性と続発性があり,原発性では遺伝子異常が同定されている.
  3. 発作時は麻痺の状態と心電図を監視しながら,カリウム値の補正を行う.発作の予防には発作誘発因子の管理と必要に応じて予防薬を投与する.
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症候と治療

 意識清明で,下肢より始まる四肢の筋力低下がみられ,弛緩性の麻痺を生じる.呼吸筋麻痺を生じることはまれである.

 低カリウム性周期性四肢麻痺の発症年齢は0~20歳である.発作の頻度は15~35歳頃に最も多くなる.発作は夜間,早朝に起こりやすい.また,運動後の休息時や炭水化物の多量摂取後に生じることが多い.麻痺は数時間から2~3 日で回復する.治療は,KCl 製剤(スローケー)の内服を行う.投与前より心電図の監視を開始し,投与後も継続して観察して不整脈の出現に注意する.投与後はカリウム値を測定し,高カリウム血症を防止する.周期性四肢麻痺発作の予防として,運動と炭水化物の多量摂取は控えさせる.予防薬として,ダイアモックス125~250 mg/日やスローケーの内服を試みる.甲状腺機能亢進症を伴う症候性の場合は,甲状腺機能障害の治療を行う.麻酔により悪性高熱症を発症する危険性があり,麻酔時は注意を要する.また,麻酔に伴って麻痺が発症することがあり,麻酔前後の観察と予防処置が重要である.

 高カリウム型周期性四肢麻痺は多くは10 歳代に発症する.発作は起床時の朝食前に生じることが多く,15 分~60 分持続する.また,激しい運動後の休息時に生じることがある.その他,誘発因子として,寒冷,ストレス,カリウム摂取,妊娠などが知られている.発作時は軽症の場合は経過観察とし,重症の麻痺の場合は心電図モニターでの監視を行いながらグルコン酸カルシウムの静注(カルチコール注8.5%5 mL 2 アンプルを5 分かけてゆっくり静注する)を行う.この際,血清カリウム値に注意する.予防のためには,炭水化物を頻回に摂取する,疲労・寒冷を避けることを指導する.予防薬としてダイアモックス250 mg/日が投与される.正カリウム性周期性四肢麻痺に対しては,発作時に食塩の内服を行う.予防にはフロリネフやダイアモックスの投与を考慮する.
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