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腰椎疾患

別名 diseases of the lumbar spine

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 常に腰痛の red flag sign(危険信号,日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修,日本整形外科学会診療ガイドライン委員会腰痛診療ガイドライン策定委員会 編:腰痛診療ガイドライン2012.p.27,南江堂,2012 参照)を念頭において診察する.red flag sign を伴う腰痛は速やかに鑑別を進める(日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修,日本整形外科学会診療ガイドライン委員会腰痛診療ガイドライン策定委員会 編:腰痛診療ガイドライン2012.p.26,南江堂,2012 参照).
  2. 腰痛は非特異的腰痛と特異的腰痛とに大別され,非特異的腰痛が多くを占める.プライマリケアの段階で重要なのは,非特異的腰痛なのか特異的腰痛なのかの判断である.特異的腰痛と判断される場合には専門医へのコンサルトが望ましい.
  3. 非特異的腰痛は腰仙椎およびその周囲の支持組織由来の腰痛であるが,下肢神経症状を伴わず,重篤な脊椎疾患が除外されるものである.短期間に自然軽快する腰痛は非特異的腰痛であることが多い.
  4. 特異的腰痛は,腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など下肢神経症状を伴うものや,脊椎感染症・脊椎腫瘍などの重篤な疾患である.下肢の痛みやしびれを伴えば特異的腰痛と考え鑑別診断を進める(小畑達郎・他編:在宅医マニュアル.p.108,医歯薬出版,2013 参照).
  5. 腰痛が数カ月間持続する場合には常に悪性疾患を念頭に置く(転移性脊椎腫瘍,多発性骨髄腫など).
  6. 激しい自発痛や炎症反応の上昇があれば脊椎感染症を念頭に置く.
  7. 腰痛が内科・泌尿器科・婦人科など他科疾患に由来する症状であることがあるので鑑別に注意する.
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検査

①腰椎単純Xp
 腰椎2 方向(正面・側面)の撮影を基本とし,脊椎不安定性の評価には前屈・後屈を,分離の有無や椎間関節の評価には両斜位を適宜追加する.
<読影のポイント>
 ①正面像
  a:側彎の有無
   b:椎体の形態.骨棘形成,魚椎・楔状椎・扁平椎などの椎体変形はないか.
   c:椎体の辺縁の不整はないか(腫瘍性疾患,感染性疾患による骨破壊).
   d:椎弓根陰影に左右差がないか(椎弓根部は転移性腫瘍の好発部位である).
 ②側面像
   a:腰椎前彎の程度はどうか.前彎の消失や後彎変形はないか.
   b:椎体のすべりはないか(分離すべり症・変性すべり症).
   c:椎体の辺縁の不整はないか(腫瘍性疾患・感染性疾患による骨破壊).
   d:椎間板腔の狭小化はないか(椎間板の変性や感染性疾患).
 ③斜位像
  a:スコッチテリアの首輪はないか(腰椎分離症).
  b:椎間関節の変形はないか(椎間関節症).
②CT
 骨性要素の描出に優れている.脊柱管狭窄の評価に有用である.
③MRI
 非侵襲的な検査であり,単純Xp に次いで行われることが多い.骨の変化のみならず椎間板と硬膜管など軟部組織の描出にも優れている.
④骨シンチグラム
 炎症や腫瘍性病変の描出に優れているが,質的判断は難しい.転移性骨腫瘍のスクリーニングに有用である.
⑤その他
 電気生理学的検査(針筋電図・末梢神経伝導速度).血液検査(炎症反応,ALP,免疫グロブリン,腫瘍マーカーなど).尿検査.骨塩定量.椎体生検による病理組織検査や細菌培養検査.
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