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うつ状態・うつ病

別名 depression

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 典型的なうつ状態とは,①抑うつ気分や焦燥感,②思考・運動抑制や気力の低下,③身体的不調(感)の 3 症状がそろった状態である.
  2. うつ病の有病率は高く,WHO の国際共同研究(日本も含む 14 カ国)では,一般診療科を受診した外来患者の 10.5%がうつ病に罹患していた.DSM-Ⅳを用いた世界的な生涯有病率は,女性で 10~25%,男性で 5~12%であった.
  3. プライマリケアの場面では,DSM-Ⅳの診断基準に準じて作成された二質問法が,感度も非常に高く,うつ病のスクリーニングに有用である.
  4. 身体疾患が隠れていることや,薬剤性のうつ状態もあるので,それらを見逃さないことが大切である.
  5. 一般臨床医の守備範囲か,精神科専門医への紹介が必要になっているか,常に重症度や自殺の危険性などを評価しながら,治療にあたることが必要である.
  6. 薬物療法とともに経過に則した心理教育(表 7,笠原  嘉:治療「一般的事項」感情障害-基礎と臨床(笠原・他編),普及版.p.346,朝倉書店,2006 参照)が必須であり,本人自身の理解のみならず家族・職場など周囲の理解とサポートなしには,いったん寛解しても,円滑な社会復帰や再発予防が難しいことを銘記すべきである.
  7. 薬物療法を行う場合は,少量から開始し,効果をみながら漸増して,十分な維持量まで使用することを心がける.
  8. 回復し始めた時期が最も自殺の危険性が高い(自殺を実行するエネルギーは出てきているが,悲観的思考は修正されていないため)ことを銘記して,本人・家族に対応する.
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表7 うつ病急性期の小精神療法
表はPC版サイトをご覧ください

診断・分類

  1. ①うつ病のスクリーニングには,1994年にSpitzerらが考案し,2002 年に鈴木らが日本語化した二質問法が有用である.質問内容は,
    1. ①この1カ月間,気分が沈んだり,ゆううつな気持ちになったりすることがよくありましたか
    2. ②この1カ月間,どうしても物事に興味がわかない,あるいは心から楽しめない感じがよくありましたというもので,どちらか1つでも該当したら陽性と判断する.その感度は99.0%である.
  2. ②スクリーニングで陽性の場合は,表1 の症状と「APA(高橋三郎・他訳):DSM-Ⅳ-TR精神疾患の診断・統計マニュアル, 新訂版. pp.345-346, 医学書院, 2004」のDSM-Ⅳ-TR 診断基準とを参考にしながら,診断する.
  3. ③うつ状態の重症度の判定には,ICD-10 の基準が参考になる.ICD-10 をもとにして作成した重症度の判定基準は「WHO(融 道男監・訳):ICD-10精神および行動の障害, 臨床記述と診断ガイドライン, 新訂版. pp.129-133, 医学書院, 2005」のとおりである.
  4. ④自殺の危険性を判断することは,最も重要なことの1 つである.「こんなにつらければ死んだほうが楽だ,とか思うこともあるでしょうねえ」「生きていても仕方ないと思うことがありますか」などと話題にすることはとても治療的な行為である.
  5. ⑤うつ病の分類には諸説あるが,一般臨床で必要なのは,表4 に示したような器質性・症候性のうつ病や薬物性のうつ状態を見逃さないチェックである.

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表1 うつ状態の3主徴
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表4 うつ病・うつ状態の分類
表はPC版サイトをご覧ください
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