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アルコール依存・離脱症状

別名 alcohol dependence, withdrawal syndrome

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. アルコール関連身体疾患で外来通院・入院する患者に対しては,1 回は必ず SBIRT(スクリーニング・簡易介入・専門医療への紹介)を実施する必要がある.なぜなら,身体疾患や離脱症状の治療を行い「飲める身体にして帰す」だけでは,同じことを繰り返して患者の身体的・社会的ダメージが大きくなり,医療側も疲弊していく可能性が高いからである.
  2. アルコール性肝炎・アルコール性膵炎や酩酊しての頭部外傷・骨折などのアルコール関連身体疾患のため入院した患者は,入院後にアルコール離脱症状(禁断症状)を起こす可能性が高いことを知っておく必要がある.一般に知られているよりもアルコール関連身体疾患は多く,WHO は 60 以上の疾患をカウントしている.
  3. アルコール離脱症状の対処は「予防にまさる治療なし」である.すなわち,ハイリスク群に対して入院直後から概ね 1 週間以内,アルコールと交叉耐性のあるベンゾジアゼピン系薬剤(例えば,セルシン® 15~20 mg/日)を予防投与して,振戦せん妄などの症状発現を抑え込むことに尽きる.
  4. この適切な対処で振戦せん妄などの症状発現を制御できれば,一般病棟でもトラブルなく入院治療が行える.しかし,予防投与をおこたるか,予防投与したベンゾジアゼピン系薬剤の量調節に失敗して,激しい精神運動興奮を伴う振戦せん妄などが発現したら,精神科閉鎖病棟へ転院して管理を行う必要もでてくる.
  5. 入院の契機となった身体疾患が重篤で精神科閉鎖病棟での身体管理が不可能な場合は,やむをえず拘束して身体治療を続行する場合もでてくるが,その際に離脱症状のピークは最終飲酒から 2~4 日目で,適切な治療によって 7~10 日で終息することを知っていると看護・介護・リハビリスタッフにも協力を求めやすい.
  6. 離脱期に合併しやすい問題として,Wernicke 脳症や慢性硬膜下/硬膜外血腫がある.いわゆる 3 徴が全てそろった Wernicke 脳症の方がむしろ珍しいため,この疾患は見逃されやすいと報告されており,しかも Wernicke 脳症を発症すると予後が大変に悲惨である.よって入院に至るようなアルコール関連身体疾患患者の疑診例では,血中 VB1 濃度を採血してから非経口的 VB1 大量投与を実施することをためらってはいけない.
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検査

①アルコール関連疾患患者が入院する際に実施すべき検査としては,血算,電解質,Mg,Ca,リン,肝酵素,血中アルコール濃度(呼気アルコール濃度でも代用可能だが精度管理に難がある)などの血液検査と尿中薬物スクリーニングテスト(トライエージ®),妊娠反応などがある.
②患者が置かれた状況によっては,結核やウィルス肝炎を含む性感染症のスクリーニング検査,胸部Xp や心電図も追加する必要が出てくる.低栄養状態あるいは1 週間以上の摂食不良がある場合は必ず血中VB1濃度をチェックする.

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