消化性潰瘍
別名 | peptic ulcer |
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
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Clinical Chart
- 緊急内視鏡/手術の適応の有無を判断する必要がある.
- NSAIDs,ステロイド等の原因を確認する必要がある.
- Helicobacter pyloriの感染の有無を確認する必要がある.
- 胃癌を除外する必要がある.
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検査の要約
- ①血液検査:貧血,Bun/Cre 比の上昇,低Alb 血症,再発等繰り返す場合はガストリン濃度など
- ②上部消化管内視鏡:潰瘍の確定診断には内視鏡が用いられている.生検や拡大内視鏡など含め悪性疾患の除外も可能であり,潰瘍を疑う場合は必ず施行すべきである(崎田隆夫, 三輪 剛:悪性腫瘍の内視鏡診断―早期診断のために. 日消病会誌 67:984-989, 1970 参照).
- ③CT:穿孔を疑う潰瘍の診断に重要である.潰瘍自体は,壁の染まりと壁内の空気,水のdensity の存在によりCT で指摘可能な場合がある.穿通性潰瘍であれば膵内,あるいはその周囲に水の溜まりを見る.
- ④腹部超音波:胃壁の壁肥厚と中央の陥凹で潰瘍を診断できることもある.
- ⑤Helicobacter pylori 感染:胃生検の組織鏡検法,培養法,迅速ウレアーゼ試験(rapid urease test:RUT),抗体測定法,尿素呼気試験(urea breath test:UBT),便中抗原測定などがある.
- 血清抗体は既往感染と現行感染を見分けることはできない.
- 除菌判定時は,除菌後4 週間以降で検査を行う.
- 尿素呼気試験,迅速ウレアーゼ試験などのウレアーゼ活性に基づく検査では,プロトンポンプ阻害薬(PPI),H2RA 投与時のウレアーゼ活性抑制による偽陰性が存在する可能性がある.偽陰性を避けるため検査は,PPI 中止後4 週間開けることが望ましい.
- 生検の組織鏡検法では,不均一な感染によるサンプリングエラーが生じる可能性がある
- ⑥胃透視:病期や部位によりさまざまな形態を示す(図2).
- 潰瘍の陥凹部にバリウムが貯留することによりできるXp 所見がニッシェである.潰瘍が治癒傾向となると,潰瘍中心に放射状の粘膜収縮を伴い,ひだ集中像を認める.さらに,潰瘍の治癒過程が進むと,線維化により側面像で硬化所見を認め,ひきつれを生じ,彎入を認める.潰瘍の対側にできるひきつれをfinger sign,胃体部の前後壁に対称性に潰瘍が存在し,大彎側にひきつれを生じると砂時計胃を認める.胃角小彎付近の潰瘍が瘢痕化すると小彎側が短縮し嚢状胃を呈する.
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