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抗ヒストプラスマ抗体

抗ヒストプラスマ抗体

別名 ヒストプラスマ抗体,ヒストプラスマ血清抗体価測定

臨床的意義

  • 本検査は,ヒストプラスマ症流行地を通過,または滞在したことがある患者が,原因不明の呼吸器症状その他の感染症状を呈したときに,感染の確認のために行われる.
  • 通常,ヒストプラスマ症患者の血清抗体価は高く,また基本的にわが国には存在しない感染症なので,抗体検査法は本症の診断と予後判定に有用であると考えられる.2種類の抗原を用いた場合,急性の感染では95%以上,慢性および播種性感染では2/3程度の陽性率が得られる.かつてはヒストプラスミン(histoplasmin)を抗原とした皮内反応法がよく用いられたが,現在市販されていない.
  • 酵母形菌体抗原を用いた場合,感染後10日から4週間後にはCFによって抗体の検出が可能となる.血清・髄液ともに4倍以上を陽性とする.抗体価は病勢と並行して推移する.感染鎮静後約9ヵ月で抗体価は陰性化するといわれているが,数年にわたって陽性が持続する場合もある.交差反応を示す場合は抗体価が8~16倍までのことが多いので,32倍以上の抗体価が得られた場合,あるいは1~2週間後の再検で4倍以上の抗体価が得られた場合は,より確実に診断できる.ただし,確定診断上,病原診断として,血液などの細胞診,および培養同定(実験室感染に注意!必ず専門機関に相談のうえで行う)に努めなくてはならない.
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基準値・異常値

基準範囲
  • 〈血清〉抗菌糸(mycelial)形,抗酵母(yeast)形抗体とも,4倍未満(CF)
  • 〈髄液〉検出しない
変動要因
陽性

アスペルギルス症、  コクシジオイデス症、  スポロトリコーシス、  ブラストミセス症

交差反応:各種真菌症(コクシジオイデス症,ブラストミセス症など各輸入真菌症,スポロトリコーシス,アスペルギルス症),および各種固形癌で陽性になる場合がある.

陰性

本症による重篤な全身播種感染または重度の免疫抑制状態の場合.

次に必要な検査
今後の検査の進め方
  • 1~2週後に抗体価再検を行うとともに,病理および培養による確定診断に努め,全身検索を行う.中枢神経に浸潤した場合,髄液抗体価のみが陽性となる場合もある.
変動要因
  • 予想外に陽性であった場合は,他の交差反応を生じる疾患を鑑別する.
  • 予想外に陰性であった場合は,病原診断を施行する.
( 槇村浩一 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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