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インフルエンザウイルス抗原(定性)

別名 インフルエンザ迅速診断キット(POCTキット)

項目名称

インフルエンザウイルス抗原定性

臨床的意義

  • インフルエンザは,乳幼児,高齢者や基礎疾患を有する患者などのハイリスク患者の入院や死亡の原因となるだけでなく,施設内感染対策の対象疾患としても重要な感染症である.潜伏期が短く感染力が強いため,迅速な対応が必要であり,抗インフルエンザ薬の投与も48時間以内が原則であるため,早期診断が求められる.保険収載は,発症後48時間以内,抗体検査と併せて実施した場合は主たるもののみ算定する.
  • 検出限界は103~106pfu/assayで,一定以上のウイルス量があって初めて陽性を示す検査であることは留意すべきである.小児を対象とした国内の治験でウイルス分離と比較した評価では,感度は咽頭ぬぐい液で50~85%前後,鼻腔ぬぐい液と鼻腔吸引液では80~100%,特異度はいずれも90%以上であった.咽頭より鼻腔検体のほうが検出率が高く,B型の感度はやや低い傾向がある.
  • インフルエンザウイルスの排泄は発症後1~2日がピークといわれ,発病12時間以内,5日目以降は検出率が落ちる.初感染の場合が多い乳幼児では鼻咽頭吸引液で長く陽性が続くことがある.また,検出率はウイルス量によるので,検体採取手技も大きく影響する.
  • 非常に多くの試薬が販売されており,材料となる検体の種類や処理方法はキットにより異なるので添付書で必ず確認し,その特徴や性能の違いに留意する.
  • 保険では発症後48時間以内が適応となる.タイムリーな検査で迅速な対応につなげたい.健康な成人では,流行時に典型的なインフルエンザ様症状があればそれだけで診断率は高いので,必ずしも検査の必要はない.高齢者や乳幼児,基礎疾患がある症例,ワクチン接種者などでは症状のみでは判断しにくいことも多いので,検査の有用性は高い.
  • 非流行期や流行がずれたときには,非特異反応の紛れ込みのため陽性反応的中率は落ちるが,臨床診断が難しいので,ある程度の有用性がある.
  • 外来診療では,一部の症例で検査して流行状況を把握することで他の症例の診断や予防(抗インフルエンザ薬は予防投与が認められている)につなげることができる.流行時の入院症例では,入院前に検査して,治療のみならず院内感染防止策を講じる.
  • 施設内流行が疑われる場合には迅速な対応を期すため積極的に検査する.2~3人のインフルエンザ症例が出れば少なくとも1人は検出できる可能性が高い.
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基準値・異常値

基準範囲
陰性
変動要因
陽性

B型インフルエンザウイルス感染症、  A型

A型,B型インフルエンザウイルス感染症

次に必要な検査
今後の検査の進め方
陽性に出た場合,特にハイリスク症例ではインフルエンザの合併症,細菌の二次感染を必ずチェックする.潜伏期が短く外来通院中にも容易に感染するため,主症状がインフルエンザによるものかどうか注意する.小児では他のウイルスやマイコプラズマなどの重複感染もよく遭遇する.
変動要因
  • 簡単な目視判定の検査であるから,偽陽性,偽陰性の可能性を常に考慮し,症状,流行状況などと併せて総合的に判断することが重要である.
  • 症例によっては,同時に他の検査のためのバックアップの検体を採取しておく.
( 三田村敬子 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

診療報酬点数

令和2年度診療報酬改定(令和2年3月5日)に基づきます。

検査料
136点
包括の有無
  1. インフルエンザウイルス抗原定性
    1. ア インフルエンザウイルス抗原定性は、発症後48 時間以内に実施した場合に限り算定することができる。
    2. イ 本検査とウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
    3. ウ 本検査は光学的抗原抗体反応(OIA法)により実施した場合にも算定できる。
  2. ヒトメタニューモウイルス抗原定性
    1. ア ヒトメタニューモウイルス抗原定性とウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型、インフルエンザウイルス抗原定性又はRSウイルス抗原定性のうち3項目を併せて実施した場合には、主たるもの2つに限り算定する。ただし、ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型又はインフルエンザウイルス抗原定性を併せて実施した場合は1項目として数える。
    2. イ ヒトメタニューモウイルス抗原定性は、当該ウイルス感染症が疑われる6歳未満の患者であって、画像診断又は胸部聴診所見により肺炎が強く疑われる患者を対象として測定した場合に算定する。
  3. SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)
    1. ア SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2 抗原及びインフルエンザウイルス抗原の検出を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合に限り、単純ヘルペスウイルス抗原定性(角膜)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。
    2. イ COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的としてSARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)の検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)の検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
    3. ウ SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)を実施した場合、本区分のインフルエンザウイルス抗原定性、SARS-CoV-2 抗原検出(定性)及びSARS-CoV-2 抗原検出(定量)については、別に算定できない。
判断料
免疫学的検査判断料144点
算定条件

1 検体検査判断料は該当する検体検査の種類又は回数にかかわらずそれぞれ月1回に限り算定できるものとする。ただし、区分番号D027に掲げる基本的検体検査判断料を算定する患者については、尿・糞ふん便等検査判断料、遺伝子関連・染色体検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、免疫学的検査判断料及び微生物学的検査判断料は別に算定しない。
2 注1の規定にかかわらず、区分番号D000に掲げる尿中一般物質定性半定量検査の所定点数を算定した場合にあっては、当該検査については尿・糞ふん便等検査判断料は算定しない。
3 区分番号D004-2の1、区分番号D006-2からD006-9まで、区分番号D006-11からD006-20まで及び区分番号D006-22からD006-28までに掲げる検査は、遺伝子関連・染色体検査判断料により算定するものとし、尿・糞ふん便等検査判断料又は血液学的検査判断料は算定しない。
4 検体検査管理に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において検体検査を行った場合には、当該基準に係る区分に従い、患者(検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)については入院中の患者に限る。)1人につき月1回に限り、次に掲げる点数を所定点数に加算する。ただし、いずれかの検体検査管理加算を算定した場合には、同一月において他の検体検査管理加算は、算定しない。
 イ 検体検査管理加算(Ⅰ) 40点
 ロ 検体検査管理加算(Ⅱ) 100点
 ハ 検体検査管理加算(Ⅲ) 300点
 ニ 検体検査管理加算(Ⅳ) 500点
5 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定した場合は、国際標準検査管理加算として、40点を所定点数に加算する。
6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、難病に関する検査(区分番号D006-4に掲げる遺伝学的検査及び区分番号D006-20に掲げる角膜ジストロフィー遺伝子検査をいう。以下同じ。)又は遺伝性腫瘍に関する検査(区分番号D006-19に掲げるがんゲノムプロファイリング検査を除く。)を実施し、その結果について患者又はその家族等に対し遺伝カウンセリングを行った場合には、遺伝カウンセリング加算として、患者1人につき月1回に限り、1,000点を所定点数に加算する。ただし、遠隔連携遺伝カウンセリング(情報通信機器を用いて、他の保険医療機関と連携して行う遺伝カウンセリング(難病に関する検査に係るものに限る。)をいう。)を行う場合は、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において行う場合に限り算定する。
7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号D006-19に掲げるがんゲノムプロファイリング検査を実施し、その結果について患者又はその家族等に対し遺伝カウンセリングを行った場合には、遺伝性腫瘍カウンセリング加算として、患者1人につき月1回に限り、1,000点を所定点数に加算する。
8 区分番号D005の14に掲げる骨髄像を行った場合に、血液疾患に関する専門の知識を有する医師が、その結果を文書により報告した場合は、骨髄像診断加算として、240点を所定点数に加算する。
9 区分番号D015の17に掲げる免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)又は24に掲げる免疫電気泳動法(特異抗血清)を行った場合に、当該検査に関する専門の知識を有する医師が、その結果を文書により報告した場合は、免疫電気泳動法診断加算として、50点を所定点数に加算する。

(1) 検体検査については、実施した検査に係る検体検査実施料及び当該検査が属する区分(尿・糞便等検査判断料から微生物学的検査判断料までの7区分)に係る検体検査判断料を合算した点数を算定する。
(2) 各区分の検体検査判断料については、その区分に属する検体検査の種類及び回数にかかわらず、月1回に限り、初回検査の実施日に算定する。
(3) 実施した検査が属する区分が2以上にわたる場合は、該当する区分の判断料を合算した点数を算定できる。
(4) 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において検体検査を実施した場合においても、同一区分の判断料は、入院・外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限る。
(5) 上記の規定にかかわらず、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る検体検査判断料は算定しない。区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「15」の慢性維持透析患者外来医学管理料又は区分番号「D025」基本的検体検査実施料を算定した月と同一月に検体検査を行った場合は、それぞれの区分に包括されている検体検査に係る判断料は別に算定できない。
(6) 区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」の悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006-2」造血器腫瘍遺伝子検査から区分番号「D006-9」WT1 mRNAま
で、区分番号「D006-11」FIP1L1-PDGFRα融合遺伝子検査から区分番号「D006-20」角膜ジストロフィー遺伝子検査まで及び区分番号「D006-22」RAS遺伝子検査(血漿)から区分番号「D006-28」Y染色体微小欠失検査までに掲げる検査に係る判断料は、遺伝子関連・染色体検査判断料により算定するものとし、尿・糞便等検査判断料又は血液学的検査判断料は算定しない。
(7) 「注4」に規定する検体検査管理加算(Ⅰ)は入院中の患者及び入院中の患者以外の患者に対し、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)は入院中の患者に対して、検体検査を実施し検体検査判断料のいずれかを算定した場合に、患者1人につき月1回に限り加算するものであり、検体検査判断料を算定しない場合に本加算は算定できない。また、区分番号「D027」基本的検体検査判断料の「注2」に掲げる加算を算定した場合には、本加算は算定できない。
(8) 入院中の患者について「注4」に規定する検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定している保険医療機関であっても、入院中の患者以外の患者について検体検査管理加算(Ⅰ)を算定することができる。
(9) 「注6」に規定する遺伝カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」のうち、マイクロサテライト不安定性検査(リンチ症候群の診断の補助に用いる場合に限る。)、区分番号「D006-4」遺伝学的検査、区分番号、「D006-18」BRCA1/2遺伝子検査又は区分番号「D006-20」角膜ジストロフィー遺伝子検査を実施する際、以下のいずれも満たした場合に算定できる。
ア 当該検査の実施前に、患者又はその家族等に対し、当該検査の目的並びに当該検査の実施によって生じうる利益及び不利益についての説明等を含めたカウンセリングを行っていること。
イ 患者又はその家族等に対し、当該検査の結果に基づいて療養上の指導を行っていること。
なお、遺伝カウンセリングの実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29 年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23 年2月)を遵守すること。区分番号「D006-18」BRCA1/2遺伝子検査を実施する際、BRCA1/2遺伝子検査を行った保険医療機関と遺伝カウンセリングを行った保険医療機関とが異なる場合の当該区分に係る診療報酬の請求は、BRCA1/2遺伝子検査を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。その際、遺伝カウンセリングを行った保険医療機関名と当該医療機関を受診した日付を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、遺伝カウンセリング加算を算定する患者については、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「23」がん患者指導管理料の「ニ」の所定点数は算定できない。
(10) 難病に関する検査(区分番号「D006-4」に掲げる遺伝学的検査及び区分番号「D006-20」に掲げる角膜ジストロフィー遺伝子検査をいう。)に係る遺伝カウンセリングについては、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いた他の保険医療機関の医師と連携した遺伝カウンセリング(以下「遠隔連携遺伝カウンセリング」という。)を行っても差し支えない。なお、遠隔連携遺伝カウンセリングを行う場合の遺伝カウンセリング加算は、以下のいずれも満たす場合に算定できる。
ア 患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師は、疑われる疾患に関する十分な知識等を有する他の保険医療機関の医師と連携し、遠隔連携遺伝カウンセリングの実施前に、当該他の保険医療機関の医師に診療情報の提供を行うこと。
イ 患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師は、他の保険医療機関の医師に診療情報の提供を行い、当該医師と連携して診療を行うことについて、あらかじめ患者に説明し同意を得ること。
ウ 患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師は、当該診療の内容、診療を行った日、診療時間等の要点を診療録に記載すること。
エ 当該他の保険医療機関は本区分の「注6」遺伝カウンセリング加算の施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であること。
オ 当該他の保険医療機関の医師は、オンライン指針に沿って診療を行うこと。また、個人の遺伝情報を適切に扱う観点から、当該他の保険医療機関内において診療を行うこと。
カ 事前の診療情報提供については、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない。
キ 当該診療報酬の請求については、対面による診療を行っている保険医療機関が行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。
(11) 「注7」に規定する遺伝性腫瘍カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D006-19」がんゲノムプロファイリング検査を実施する
際、(9)のア及びイのいずれも満たした場合に算定できる。なお、遺伝カウンセリングの実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29 年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査 診断に関するガイドライン」(平成23 年2月)を遵守すること。
(12) 「注8」に規定する骨髄像診断加算は、血液疾患に関する専門の知識及び少なくとも5年以上の経験を有する医師が、当該保険医療機関内で採取された骨髄液に係る検査結果の報告書を作成した場合に、月1回に限り算定する。
(13) 「注9」に規定する免疫電気泳動法診断加算は、免疫電気泳動法の判定について少なくとも5年以上の経験を有する医師が、免疫電気泳動像を判定し、M蛋白血症等の診断に係る検査結果の報告書を作成した場合に算定する。
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