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コルチコステロン

コルチコステロン

別名 Kendall's compound B

臨床的意義

  • 先天性副腎皮質過形成のうちコルチコステロンが増加するのはアルドステロン合成酵素欠損症,17α-水酸化酵素欠損症である.これらの疾患では血中コルチゾールが低下し,ACTHが増加し,結果として血中コルチコステロンが高値を示す.17α-水酸化酵素欠損症は思春期以降に症状が出ることが多く,低カリウム血症,高血圧,二次性徴がない,などで発見される.このような症状がある場合,17α-水酸化酵素欠損症を疑いコルチコステロンを測定する.アルドステロン合成酵素欠損症では出生時に脱水,塩類喪失症状があることで気づかれる.
  • 副腎腫瘍があり,高血圧や電解質異常を呈していながら,Cushing症候群,原発性アルドステロン症の所見に合致しない場合に副腎皮質ステロイド中間代謝産物の産生異常を疑い,コルチコステロンを測定する.この場合,ステロイド合成の代謝マップ上に存在する他の中間代謝産物を同時に測定しておくと,ステロイドホルモン合成のどの過程に異常をきたした腫瘍であるかを評価しやすい.頻度はまれであるがコルチコステロン産生腫瘍の報告例もある.
  • 先天性副腎皮質過形成のうちコルチコステロンが低下するのは3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症,11β-水酸化酵素欠損症,Prader症候群である.
  • コルチコステロンはコルチゾール同様ACTH依存性に産生されるホルモンであるために,Cushing病や異所性ACTH産生腫瘍では高値となり,汎下垂体機能低下症やACTH単独欠損症においては低値となる.ただしこれらの変化は,副腎皮質ホルモン全体に生じる変化であり,臨床的意義は薄い.Addison病などの原発性副腎不全でもコルチゾールと同様に低値になる.
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基準値・異常値

基準範囲
  • 男性0.380~8.420ng/ml
  • 女性0.210~8.480ng/ml
変動要因
高値

17α-水酸化酵素欠損症とアルドステロン合成酵素欠損症、  ACTH単独欠損症、  コルチコステロン産生副腎皮質腫瘍、  汎下垂体機能低下症

ACTH過剰を呈する疾患(汎下垂体機能低下症,ACTH単独欠損症),コルチコステロン産生副腎皮質腫瘍,先天性副腎皮質過形成の一部(17α-水酸化酵素欠損症とアルドステロン合成酵素欠損症)

低値

11β-水酸化酵素欠損症、  21-水酸化酵素欠損症、  3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症、  ACTH単独欠損症、  Addison病、  Prader症候群、  汎下垂体機能低下症

汎下垂体機能低下症,ACTH単独欠損症,Addison病,先天性副腎皮質過形成の一部(3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症,11β-水酸化酵素欠損症,21-水酸化酵素欠損症,Prader症候群)

次に必要な検査
異常値の場合,その調節因子であるACTH,および副腎皮質からのコルチゾールアルドステロンとその中間代謝産物を測定する.また性ステロイド(DHEA-S,テストステロン)を測定する.
変動要因
  • 高値:ストレス下での採血を除外する.
  • 低値:デキサメタゾンなどの強力な合成ステロイドの投与時は,ACTHが抑制されるので低値となる.また副腎皮質ホルモン合成阻害薬(アミノグルテチミド,ミトタン,トリロスタン)投与時および11β-水酸化酵素阻害薬であるメチラポン投与時にも低値になる.
( 伊藤 聡 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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