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17α-ヒドロキシプレグネノロン

17α-ヒドロキシプレグネノロン

別名 17P5

臨床的意義

  • 副腎腫瘍があり,17α-ヒドロキシプレグネノロンがデヒドロエピアンドロステロンサルフェートとともに高値を示した場合は,男性化徴候をきたす副腎癌の可能性がある.Cushing症候群をきたす副腎腺腫の場合でもごくわずかに17α-ヒドロキシプレグネノロンの上昇がみられる場合もあるが,腺腫のコルチゾール産生能が高いほど17α-ヒドロキシプレグネノロンの上昇は軽度となる.これは,副腎癌と副腎腺腫ではコレステロールからコルチゾールへの変換効率が腺腫の方が良いためである.
  • 21-水酸化酵素欠損症では血中17α-ヒドロキシプロゲステロンが高値となるが,17α-ヒドロキシプレグネノロンの高値も参考所見の一つである.3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症においても,17α-ヒドロキシプレグネノロン→17-ヒドロキシプロゲステロンの反応が阻害されるために17α-ヒドロキシプレグネノロンが高値となる.
  • 卵巣摘出後婦人,無排卵婦人(多のう胞性卵巣を含む)にACTHを負荷すると,正常排卵周期婦人に比して17α-ヒドロキシプレグネノロン/17-ヒドロキシプロゲステロン比は有意に上昇する.一部の多のう胞性卵巣では3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症が欠乏しているとの報告があり,ACTHに対する17α-ヒドロキシプレグネノロン/17-ヒドロキシプロゲステロン比の反応性が指標になりうる.
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基準値・異常値

基準範囲
0.1~4.0ng/ml
変動要因
高値

3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症

先天性副腎皮質過形成の一部(3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症),副腎癌

次に必要な検査
17α-ヒドロキシプレグネノロンは産生源が卵巣,精巣,副腎と多岐にわたるために単独で血中濃度を測定しただけでの診断は難しい.そのためゴナドトロピン,ACTHテストステロンやエストロゲンなどの性腺ステロイドホルモン,副腎性ステロイドホルモンを同時に測定し,また画像検査も行い,下垂体-性腺-副腎系を総合的に判断する必要がある.
変動要因
測定系と交叉反応する合成ステロイドの投与を考える.デキサメサゾンなどの強力なステロイドホルモンの投与によりACTH分泌が低下し低値を示す.
( 伊藤 聡 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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