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抗内因子抗体

抗内因子抗体

略称 IF-AB
別名 内因子抗体,抗胃抗体

臨床的意義

  • 本検査は悪性貧血の診断に重要である.抗胃壁細胞抗体(PCA)よりも悪性貧血に特異性が高い,すなわち他の胃疾患で陽性となることが少ない.悪性貧血患者でのⅠ型抗体陽性率は70%程度である.一方,Ⅱ型抗体陽性率は40%程度と低く,またそのほどんどがⅠ型抗体も陽性である.悪性貧血でも30%程度は抗内因子抗体が陰性である.
  • 慢性甲状腺炎(橋本病),1型糖尿病,Addison病などの臓器特異的自己免疫疾患でも検出されることがあるが,これらの患者は後に悪性貧血を発症する可能性がある.
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基準値・異常値

基準範囲
陰性
変動要因
陽性

Addison病、  悪性貧血、  胃癌、  萎縮性胃炎、  甲状腺疾患、  鉄欠乏性貧血、  糖尿病

悪性貧血(70~80%),Addison病(30%),萎縮性胃炎(10%),胃癌,甲状腺疾患,糖尿病鉄欠乏性貧血ほか

次に必要な検査
  • 他に確認すべき検査は,①末梢血の血球算定/血液像で大球性高色素性貧血と好中球過分葉(hypersegmentation),②骨髄塗抹標本での巨赤芽球性変化,③血中ビタミンB12(V.B12),葉酸の測定,④抗胃壁細胞抗体,⑤胃内視鏡による萎縮性胃炎と無酸症,⑥l-バリン負荷による尿中メチルマロン酸高値,⑦シリング(Schilling)試験である.
  • Shilling試験は,58Co-V.B12の経口投与によるV.B12吸収試験であり,尿中排泄量により判断する.内因子欠乏型と吸収障害型を区別しうる.
  • 悪性貧血においては他の臓器特異的自己免疫疾患である慢性甲状腺炎(橋本病),Addison病,1型糖尿病などを合併することがあるため,それらの検索も必要である.
変動要因
  • 健常者でもまれに陽性を呈することがある.
  • ステロイド治療による病態の改善によって抗内因子抗体の抗体価は低下しうる.
( 今福裕司 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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