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抗膵島細胞質抗体

抗膵島細胞質抗体

略称 ICA
別名 ラ島細胞質抗体,膵島細胞質抗体

臨床的意義

  • 本検査は以下の場合に行われる.
    ①自己免疫性1型糖尿病が疑われるとき,診断確定のマーカーとして,GAD抗体,IAA,IA-2抗体とともに測定する.
    ②1型糖尿病患者の近親者で将来の1型糖尿病発症予知に用いる(日本では現在まであまり行われていない).
    ③slowly progressive IDDMのIDDMへの進展予知に用いる.
  • ICAは測定法が繁雑で技術を要すること,標準化が容易でないことなどから,RIAでキット化されている抗GAD抗体抗IA-2抗体,IAA(インスリン自己抗体)の測定がまず行われることが多い.しかし,1型糖尿病の発症マーカーとして特異性が高く,今日でもそのgold standardとされている.発症直後には約60~80%で検出されるが,経過とともに陽性率,抗体価は低下する.
  • 1型糖尿病患者の近親者でICA陽性(特に20JDF単位以上)の場合,将来高率に1型糖尿病を発症する.さらにインスリン非依存状態の糖尿病患者でICA陽性の場合,高率にインスリン依存状態へ移行するので,slowly progressive IDDMのIDDMへの進行予知にはGAD抗体とともにICAを測定することが望まれる.
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基準値・異常値

基準範囲
陰性
変動要因
陽性

autoimmune polyglandular syndrome、  slowly progressive IDDM、  自己免疫性1型糖尿病

自己免疫性1型糖尿病,slowly progressive IDDM,autoimmune polyglandular syndrome,自己免疫性1型糖尿病患者の一親等近親者

次に必要な検査
自己免疫性1型糖尿病の診断には,他の膵島関連自己抗体,HLA-DR血清型タイピング検査やDR,DQ,DPのDNAタイピング検査などを行う.1型糖尿病患者の近親者で陽性の場合やslowly progressive IDDMと考えられた場合,内因性インスリン分泌能を調べる.
変動要因
  • 予想外に陽性のとき:slowly progressive IDDMの可能性を念頭におく(2型糖尿病と診断していた場合)
  • 予想外に陰性のとき:他の膵島特異的自己抗体の測定やHLAタイピングを行う(自己免疫性1型糖尿病の診断確定のために測定した場合).また,特発性1型糖尿病の可能性を考える.
( 葛谷信明 )
臨床検査項目辞典

「最新 臨床検査項目辞典」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部の項目を抜粋のうえ当社が転載しているものです。全項目が掲載されている書籍版については、医歯薬出版株式会社にお問合わせください。転載情報の著作権は医歯薬出版株式会社に帰属します。

「最新 臨床検査項目辞典」
監修:櫻林郁之介・熊坂一成
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, inc., 2008.

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