『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 直接クームス試験が陽性のときに,赤血球に結合しているのがIgGか,補体(C3あるいはC4)かを明らかにする目的で行う.温式抗体による自己免疫性溶血性貧血(AIHA)では,抗IgGのみか,あるいは抗IgG+抗補体に反応がみられる.抗補体のみに反応がみられることはまれである.
- 不適合輸血による溶血性輸血副作用がみられる際には,おもに抗IgGで非常に弱い陽性反応を認めることがある.この場合は,血清中の不規則抗体をみる間接クームス試験で,より強い陽性反応を示す.
- 新生児溶血性疾患では,胎盤通過性のあるIgGが原因であるため,抗IgGで陽性を示す.
- 薬剤が原因で直接クームス試験陽性となったときに,monospecificクームス血清を用いた検査所見が薬剤の特定に役立つことがある.ペニシリンでは,ペニシリンがハプテンとなって赤血球膜に非特異的に結合し,ペニシリン抗体(IgG)を産生する.この状態でペニシリンを再投与すれば,赤血球に結合したペニシリンに抗体が反応し結合した状態となる(抗IgGで検出される).キニン・キニジン系薬剤では,薬剤が血清中の蛋白と結合して抗原性を獲得し,抗体産生を惹起する.当該薬剤が再投与されると,抗体が結合して免疫複合体を形成する.赤血球がこの免疫複合体を吸着する際に,補体も吸着し赤血球膜に結合させる(抗補体で検出される).
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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陽性 |
寒冷凝集素症、 自己免疫性溶血性貧血、 新生児溶血性疾患、 発作性寒冷ヘモグロビン尿症、 不適合輸血、 薬物誘発性免疫性溶血性貧血
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次に必要な検査 |
赤血球からの抗体解離同定試験を行い,抗体の型特異性を同定する.
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変動要因 |
血液を保冷すると,血清中の抗I自己抗体(寒冷凝集素)が赤血球に結合するが,同時に補体を吸着するため,抗補体血清で偽陽性反応を呈する.
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( 村上純子 )