『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 5q-はhigh risk MDS亜群やAMLに認められた場合には,病勢の急速な進行などを含む予後不良の指標となるが,単独異常としての「5q-症候群」は以下の特徴を持つMDSの独立した一亜型とされている.①予後良好(中央値生存期間:53~146ヵ月)であり,白血化率は5~15%(他のMDS亜型では30~45%),②欠失は5q13~5q33の間で起こる中間部欠失であり,ほぼすべての症例で5q31バンドが欠失している,③圧倒的な女性優位であり(男女比3:7,他のMDS亜型は男性優位),中高齢者に多い(中央値66~68歳),④大球性貧血を示し,⑤骨髄中の芽球は5%以下,白血球数は正常または軽度低下,⑥血小板数は正常または軽度増加,骨髄では低度分葉核をもつ巨核球像が認められる.
- 「5q-症候群」患者の骨髄スメア標本で5q31プローブを使ってFISHを行ったところ,赤芽球系・顆粒球系・巨核球系のいわゆる骨髄3系統の細胞に5q31欠失が認められた.つまり,「5q-症候群」は幹細胞レベルで腫瘍化が起きた幹細胞性疾患であると考えられる.しかし,明らかに大球性を示す赤芽球でありながら,5q31欠失はそのうちの35~50%にしか検出されないこと,他のlineageでも同様の所見が得られることから,5q-症候群では「5q-」を持つクローンとそうではないクローンがモザイク状態に存在していると考えられる.また,造血幹細胞のFACS検索から,「5q-クローン」の発生した幹細胞レベルはlymphomyeloid hematopoietic stem cell(CD34+,CD38+)であろうと考えられている.しかし,成熟リンパ球には5q31欠失が認められないことから,「5q-クローン」ではリンパ球への分化が阻害されていると考えられている.
- 5q-症候群ではlenalidomide(Revlimid®)が著効を示すことが知られているが,最近,5q-症候群に限らず,5q-を複合異常として持つ他のMDS亜群やAMLでも著効を示すことが報告されている.そこで,MDSやAMLで5q-の有無を調べることは治療剤選択の上できわめて重要である.
( 佐藤裕子 )