『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 血友病A患者に対する第Ⅷ因子含有製剤の反復輸注後に,効果が減弱または消失し,凝固時間も改善を示さなくなることがある.これは第Ⅷ因子に対する同種抗体である.血友病患者の約30%に出現するとみられており,血友病患者の止血管理を困難にするため,現在においても血友病治療の大きな問題の一つである.補充療法に伴う第Ⅷインヒビター発生のリスクを決定する要因として考えられているのは重症度,遺伝子変異,人種,製剤の種類,投与回数やパターンなどが考えられているが,未解明な部分も多い.
- 血友病Aの患者で補充療法の効果が減弱した場合は,まず製剤投与後の第Ⅷ因子の活性を検査し,回収率が低下している場合や半減期が短縮している場合は第Ⅷ因子インヒビターの存在が疑われるため,インヒビターを測定する必要がある.
- 異常出血の既往歴のない患者で,びまん性の出血斑や,外傷や手術時などに軟部組織や粘膜組織の異常出血,あるいは止血困難などが出現し,APTTのみの延長がみられる場合は第Ⅷ因子インヒビター測定の必要がある.一般に出血症状は重く,本疾患の死亡率は10~20%と,重症の血友病Aやインヒビター保有血友病患者に比べても高い.これは診断の遅れから,侵襲の大きな検査や治療法が行われるうえ,適切な補充療法も遅れることが多いことが考えられ,できるだけ早期に診断し対応することが重要である.
- 出血に対する治療は,インヒビターの中和容量を超える第Ⅷ因子製剤を投与する中和療法,凝固系のバイパス活性を持つ活性化第Ⅶ因子製剤や活性化プロトロンビン複合体製剤を用いる.インヒビターそのものに対する治療としては,先天性血友病Aに発生したものに対しては免疫寛容療法,後天性血友病に対してはステロイドや免疫抑制剤が用いられる.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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異常値を呈する場合 |
後天性血友病、 補充療法を受けた血友病A患者の一部 |
異常値を呈する場合 |
補充療法を受けた血友病A患者の一部,後天性血友病 |
変動要因 |
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( 和田英夫,松本剛史 )