『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 尿細管再吸収能をみる目的で検査される.また,副甲状腺機能亢進症および副甲状腺機能低下症の鑑別に血清P,PTH,尿中Ca,cAMPの測定値を参照しながら観察される.ただし,他の検体検査,画像診断が進歩した現在,この検査の頻度は減少している.
- 偽性副甲状腺機能低下症は外因性PTHに対する反応性をみるEllsworth-Howard試験が一般に行われ,尿中cAMPの測定により鑑別が行われる.PTH静注2時間後,負荷前2時間値に比べ35mg以上排泄増加のものを(+)とする.
- 尿P測定のみでの臨床的意義は乏しく,血清Pとの関係において,尿細管のP再吸収に関連する尿中P排泄能として観察される.すなわち,尿細管P再吸収係数(TRP,基準値80~94%),尿細管P最大再吸収率(TmP/GFR,基準値22~40mg/dl),Pクリアランスなどとして計算される.
- TRP=1-UP・SC/SP・UC
(すなわちTRP=1-CP/Ccr)
CP=UP・V/SP(ml/min)
ただし,UP:尿中P濃度,UC:尿中クレアチニン濃度,SP:血清P濃度,SC:血清クレアチニン濃度(いずれもmg/dl),V:尿量(ml/min) - このうちTRPは内因性PTH分泌の多寡を知る簡易試験である.PTHは尿中P排泄促進作用があり,蓄尿と採血検体で両者のP,クレアチニン値からTRPが求められ,副甲状腺機能亢進症の約80%の例で低値を示す.ただし慢性腎不全,尿細管障害,骨軟化症,サルコイドーシス,ビタミンD中毒でも低値を示すので注意が必要である.
- 最近は正確度の上からTmP/GFRが求められる.午前8:00に排尿,午前9:00に採血,午前10:00に採尿し,尿中Pとクレアチニンを測定し,CP/Ccrと血清P値からBijvoetのノモグラムを用いて求められる.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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高値 |
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低値 |
くる病、 ビタミンD欠乏症、 吸収不良症候群、 骨軟化症、 副甲状腺機能亢進症
副甲状腺機能亢進症,ビタミンD欠乏症,くる病,骨軟化症,吸収不良症候群 |
次に必要な検査 |
内分泌機能検査(副甲状腺,甲状腺)が必要である.
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変動要因 |
異常低値のとき,蓄尿時に生成された塩類が沈殿しているのをよく撹拌せずに検体として提出されている可能性がある.
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( 伊藤機一 )