『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 遊離コルチゾールのもつ臨床的意義はコルチゾールとほとんど同じ(【→】「コルチゾール」).
- 血中コルチゾール測定と尿中遊離コルチゾール測定の相違を理解して検査法を選択する.尿中遊離コルチゾールは血中コルチゾールに比して,①律動的なコルチゾール分泌の影響を避けて1日の総分泌量を評価できる,②副腎不全の際の副腎皮質ホルモンの補充量の決定の指標となる,③血中コルチゾールはCBGなどの結合蛋白が増加した場合,見かけ上高値を示すが,尿中遊離コルチゾールは結合蛋白の影響を受けない,という違いがある.
- 尿中遊離コルチゾールと17-OHCSの値は通常平行した変動を示すが,17-OHCSは肝臓での代謝の影響を受けるので,抗結核薬や抗痙攣薬の投与あるいは甲状腺機能亢進症により肝臓でのステロイド代謝が亢進すると下垂体副腎系に異常がなくても高値となるが,尿中遊離コルチゾールはこうした肝臓でのステロイド代謝の影響をほとんど受けないという利点がある.また先天性副腎皮質過形成のうち11β-水酸化酵素欠損症やメチラポン投与時のようにコルチゾール分泌は低下しているが,その前駆体である11-deoxycortisolが増加している場合には,尿中遊離コルチゾールは低値で尿中17-OHCSが高値となる.
- 測定においてはコルチゾールと同様に,投与中のステロイドが交叉反応するので,副腎皮質予備能をみる場合には測定系に交叉反応しないデキサメサゾンに切り替えてから検査する.
- 尿中遊離コルチゾールは副腎不全の際のヒドロコーチゾン投与量の決定の際に指標となる.すなわち,ヒドロコーチゾンを2.5mg/day程度の少量から投与開始し,2週間ずつ5mg/day,7.5mg/day,10mg/dayと徐々に増量するが,この際に1日完全蓄尿による尿中遊離コルチゾールを測定し,最終的に基準値になるようにヒドロコーチゾンの投与量を検討する.
- 高値の場合は抑制試験(デキサメサゾン抑制試験など)を,低値の場合は刺激試験(ACTH負荷試験など)を行うのが通例である.