『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 視床下部-下垂体-副腎皮質系,生殖器系(精巣,卵巣)という男性ホルモンの代謝経路のいずれかの異常を疑うときに測定する.
- 男性ホルモン異常を疑う場合に,まずスクリーニングとして男性ホルモンの分泌動態を反映する尿中17-KSを測定し,異常値のときにアンドロステロンを測定する.その際にテストステロンやアンドロステンジオンなどと同時に測定し,視床下部-下垂体-副腎皮質,性腺のどこに異常があるかを明らかにする.
- 先天性副腎皮質過形成のうち21-水酸化酵素欠損症と11β-水酸化酵素欠損症では両者とも副腎由来の男性ホルモンが増加し,その代謝産物であるアンドロステロンが高値となる.逆に17α-水酸化酵素欠損症とPrader症候群ではアンドロステロンが低値となる.両者とも副腎由来の男性ホルモンの合成障害がある.
- 多のう胞性卵巣ではLH,FSHの過剰分泌があり,副腎由来の男性ホルモンが増加しアンドロステロン高値の場合もあるが,わが国では頻度は少ない.
- 甲状腺機能とも関係があり,甲状腺機能亢進症では男性ホルモン代謝が亢進しアンドロステロンは高値を示す.逆に甲状腺機能低下症のときには,男性ホルモン代謝が遅延しアンドロステロンは低値を示す.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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高値 |
21-水酸化酵素欠損症と11β-水酸化酵素欠損症、 甲状腺機能亢進症、 甲状腺機能亢進症、 多のう胞性卵巣、 男性化副腎腫瘍
先天性副腎皮質過形成の一部(21-水酸化酵素欠損症と11β-水酸化酵素欠損症),多のう胞性卵巣,甲状腺機能亢進症,男性化副腎腫瘍,甲状腺機能亢進症 次に必要な検査
コルチゾール,アルドステロン,性ステロイドおよびその中間代謝産物を測定する.21-水酸化酵素欠損症では17α-ヒドロキシプロゲステロンが増加し,11β-水酸化酵素欠損症では11-デオキシコルチコステロンと11-デオキシコルチゾールが増加する.多のう胞性卵巣を疑う場合にはLH,FSHの測定と画像検査にて卵巣の多発のう胞の有無を調べる.
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低値 |
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変動要因 |
強力な合成ステロイドホルモンの投与時には低値を示す.尿中17-KSを測定し,乖離がみられたときには再検する.
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( 伊藤 聡 )