各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 先天性副腎皮質過形成のうち,21-水酸化酵素欠損症と11β-水酸化酵素欠損症では,17α-ヒドロキシプロゲステロンとともにアンドロステンジオンが高値となる.Prader症候群,17α-水酸化酵素または3β-水酸化ステロイド脱水素酵素の欠損ではアンドロステンジオンが低値となる.また尿中17-KSやプレグナントリオール測定と同様,補充療法中の効果判定の指標として有用である.
- 多のう胞性卵巣症候群では,卵巣のtheca cellの機能亢進によりアンドロステンジオンが高値となる.
- Cushing症候群では,血中の主要な副腎アンドロゲンであるDHEA-Sと同様にACTHの値に連動して上下し,Cushing病と副腎腺腫によるCushing症候群との鑑別診断の一助となる.Cushing病や異所性ACTH産生腫瘍のときには高値,副腎腺腫のときには低値となる.副腎癌でもDHEA-S同様に高値となる.
- 特発性多毛症,副腎,卵巣の男性化腫瘍では高値になる.11β-ヒドロキシアンドロステンジオンは副腎のみにある11β-水酸化酵素によりアンドロステンジオンより生成されるため,アンドロステンジオン/11β-ヒドロキシアンドロステンジオン比が低くなれば副腎に由来する男性化を疑う.また続発性,卵巣性の男性化症では,正常女性に比べテストステロン/アンドロステンジオン比が高くなる.
基準値・異常値
不特定多数の正常と思われる個体から統計的に得られた平均値。 |
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高値 |
11β-水酸化酵素欠損症、 17β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症、 21-水酸化酵素欠損症、 Cushing病、 異所性ACTH産生腫瘍、 高プロラクチン血症、 多のう胞性卵巣症候群、 副腎癌
Cushing症候群の一部(Cushing病,異所性ACTH産生腫瘍),先天性副腎皮質過形成の一部(21-水酸化酵素欠損症,11β-水酸化酵素欠損症),多のう胞性卵巣症候群,副腎癌,高プロラクチン血症,17β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症, |
低値 |
17α-水酸化酵素欠損症、 3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症、 ACTH単独欠損症、 Addison病、 Klinefelter症候群、 Prader症候群、 Sheehan症候群、 Turner症候群、 副腎腺腫
Cushing症候群の一部(副腎腺腫),Addison病,続発性副腎不全(Sheehan症候群,ACTH単独欠損症),先天性副腎皮質過形成の一部(17α-水酸化酵素欠損症,Prader症候群,3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症),Turner症候群,Klinefelter症候群 |
次に必要な検査 |
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変動要因 |
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( 伊藤 聡 )