BCR-ABLキメラ遺伝子
BCR-ABLキメラ遺伝子
略称 | BCR-ABL(FISH) |
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臨床的意義
- BCR-ABLキメラ遺伝子は,BCR再構成をもつCMLと一部(15~20%)のALLで検出される.CMLの約5%はPhが陰性である.その20~40%はBCR再構成が認められ,臨床的にPh陽性CMLと同様である(masked Phや複雑型Ph).
- CMLとの鑑別を要する白血球増多症や血小板増多症において,Phが陰性の場合,masked Phや複雑型Phを疑うときの確定診断に用いる.その他Ph陰性CMLに含まれる病態には,細胞異形成を伴う非典型型CML,骨髄増殖性の要素をもつ骨髄異形成症候群,慢性骨髄単球性白血病,Ph陰性BCR陰性のCMLがある.
- CMLでのBCR再構成は,アルキル化剤治療後の血液学的寛解後も検出される.インターフェロンやチロシンキナーゼ活性阻害剤による治療では,白血病クローンが減少し検出感度以下となる.骨髄移植治療後は検出しない.
- FISHでは,染色体検査で分裂中期核(分裂像)が得られない場合でも,間期核の細胞でキメラ遺伝子を検出できる.500個の細胞について解析するため,染色体検査より精度が高い.定量的測定が可能である.BCR/ABLとABL/BCRともに検出できる.
- 近年,M-bcrとm-bcrのほかに下流のμ-bcr領域に切断点をもつBCR陽性の慢性骨髄性白血病が明らかにされた.この場合もFISHで検出しうる.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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キメラ遺伝子を認めず
変動要因 - 異常値を呈する場合
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Philadelphia染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)、 Ph陽性急性骨髄性白血病(AML)、 慢性好中球性白血病、 慢性骨髄性白血病(CML)
慢性骨髄性白血病(CML),Philadelphia染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL),Ph陽性急性骨髄性白血病(AML),慢性好中球性白血病
- 次に必要な検査
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形態学的検査,細胞表面抗原検査や染色体検査などを併せて総合的に診断する.必要に応じBCR-ABL遺伝子産物(mRNA)を測定する.
- 変動要因
- BCRプローブを用いたサザンブロット・ハイブリダイゼーションによる遺伝子再構成を確認する.治療後は,より高感度のRT-PCRによるBCR-ABL遺伝子産物(mRNA)を測定する.
- CMLと類似した所見において,非典型的CMLの鑑別が必要となる.後者において,染色体異常として,+8,+13,del(20q),i(17q),del(12p)などがみられる.相互転座として,t(5;10)(q33;q22)の報告がある.
( 宮地勇人 )
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