5´-ヌクレオチダーゼ
5´-ヌクレオチダーゼ
略称 | 5´-ND |
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別名 | 5´-ribonucleotide phosphohydrolase |
臨床的意義
- 胆管閉塞性疾患が疑われる場合に検査する.5´-NDは毛細胆管側の膜に結合して存在するため,アルカリホスファターゼ(ALP)やロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)と同様に胆管閉塞に際して血中に上昇する.ALPやLAPと比較して胆汁中に多量に存在し,胆管特異性も高いため,これらより鋭敏かつ特異的な指標とされる.
- 肝実質性疾患が疑われる場合に検査する.肝炎や肝硬変など肝細胞傷害を主病変とする疾患では,それほどの上昇は認められない.
- 血液リンパ系悪性疾患が疑われる場合に検査する.5´-NDはリンパ球内にも存在し,悪性リンパ腫や慢性リンパ性白血病ではリンパ球内の5´-NDが低下する.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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2~9U/l
変動要因 - 高値
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≧10U/l:閉塞性肝疾患(閉塞機転が大きいほど上昇の程度が大きい),肝細胞傷害(急性肝炎ではALPとほぼ同様な変動であるが,慢性肝炎ではALPより変動幅が大きく,しかも持続する)
- 低値
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β-サラセミア、 リンパ性白血病、 鉛中毒、 伝染性単核球症や悪性リンパ腫、 免疫不全症
≦1U/l:赤血球中(鉛中毒,β-サラセミア),リンパ球中(リンパ性白血病,伝染性単核球症や悪性リンパ腫,免疫不全症)
次に必要な検査
鉛中毒では赤血球中のδ-アミノレブリン酸(ALA)が低下し,プロトポルフィリンが増加する.尿中のδ-ALAとコプロポルフィリンは増加する.β-サラセミアではヘモグロビンβ鎖の合成障害があるため,ヘモグロビン異常を検索する.リンパ球異常症については血液検査,リンパ節生検などを行う.
- 変動要因
- 胆道系酵素であるALP,γ-GT,LAPを測定して比較チェックする.
- 金属酵素であるのでEDTA血漿では異常低値となるため,検体の採取方法をチェックする.
- 検体保存条件により活性が低下することがあるため,保存条件の検索を行う.
( 高木 康 )
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