妊娠反応
妊娠反応
臨床的意義
- 本検査は,妊娠が疑われた場合や,流産後,妊娠中絶後に妊卵が完全に排泄され,正常化したことを確認するために使用される.絨毛性疾患の治療後の経過観察に使用される場合もあるが,血中hCG測定がより鋭敏である.
- 妊娠判定では,侵襲が少なく,簡便な尿中hCGを測定する.高感度キットを使用すれば,妊娠4週0日(月経予定日)には,妊娠判定が可能である.正常妊娠では,尿中hCG感度25mIU/mlおよび50mIU/mlのキットで陽性を示す.
- 検査陽性後に陰性を呈する場合や非妊娠時に陽性を呈する場合は,超音波断層法および血液検査による精査が必要である.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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正常月経周期婦人(28日型)の場合,妊娠4週0日における尿中hCG感度25mIU/mlおよび50mIU/mlの診断試薬で陽性,その数日後に感度200mIU/mlの診断試薬で陽性
変動要因 - 異常値を呈する場合
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hCG産生腫瘍、 子宮外妊娠、 流産
- 検査陽性後に陰性を呈する場合:流産,子宮外妊娠
- 非妊娠時に陽性を呈する場合:hCG産生腫瘍,分娩後,流産後,人工妊娠中絶後,hCG投与後
- 偽陰性を呈する場合:胞状奇胎などの絨毛性疾患やhCG産生腫瘍などで,hCG分泌が異常に高値を示すとき
- 次に必要な検査
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妊娠反応が陽性であっても流産や子宮外妊娠の可能性もあることから,超音波断層法による画像診断が必須である.
- 変動要因
- 上記に示すとおり,非妊娠時に妊娠反応陽性となる場合に留意する.また,多尿や希釈尿にて偽陰性となること,血尿,蛋白尿の場合は免疫反応に影響がみられることがある.
- 絨毛疾患におけるLAR測定系で100万mIU/ml以上の異常高値を示す場合には,尿中に極度のhCGが含まれ,抗原担体のラテックス粒子がhCGで取り囲まれることにより凝集が阻害されるプロゾン現象で,反応が偽陰性になることがある.分娩後,流産後,人工妊娠中絶後,hCG投与後にも陽性となることがある.
( 竹田 省,金田容秀 )
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