アミロイドβ蛋白
アミロイドβ蛋白
別名 | Aβ |
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臨床的意義
- 本検査は下記の場合に行われる.
①Alzheimer病患者と他の認知症との鑑別診断目的.
②Alzheimer病に進行する軽度認知障害の診断.
③Alzheimer病の早期診断目的. - Aβ蓄積は,最も早期病変で,Alzheimer病に対する疾患特異性がきわめて高い.常染色体優性遺伝を呈する家族性Alzheimer病の原因遺伝子であるAPPやプレセニリン1,2の変異のいずれもが,Aβ42産生促進効果や,なかにはAβ凝集促進効果をもつことが報告されている.いずれもAβアミロイド沈着がAlzheimer病のprimary病変であることの証であり,これまでAlzheimer病における生物学的診断マーカーとして脳脊髄液中Aβ40とAβ42の選択的分別定量がなされてきた.Alzheimer病では脳病理変化を反映し髄液中Aβ42の選択的減少が起こる.
- AD index(tau×Aβ40/Aβ42)が感度69%,特異性88%とAlzheimer病鑑別診断に有用である.
- 血液中リポ蛋白非結合型Aβ42もAlzheimer病患者で増加しており,より非侵襲的な生物学的診断マーカーとしての応用を模索中である.
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基準値・異常値
- 基準範囲
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- Aβ40:1,651±1,014fmol/ml
- Aβ42:312±221fmol/ml(mean±SD)
(岡山大学大学院医歯学総合研究所神経病態内科学在籍時での値)
- 異常値を呈する場合
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Alzheimer病、 Creutzfeldt-Jakob病、 Lewy小体型認知症、 筋萎縮性側索硬化症、 血管性認知症、 前頭側頭型認知症、 大脳皮質基底核変性症
- Aβ42の選択的低値:Alzheimer病,Lewy小体型認知症,Alzheimer病に進行する軽度認知障害(MCI)
- Aβ42の低値をとりうる疾患:血管性認知症,前頭側頭型認知症,大脳皮質基底核変性症,Creutzfeldt-Jakob病,筋萎縮性側索硬化症
- 変動要因
- 検体中に非特異的反応を示す物質が存在するかを検討するため,希釈試験など再検が必要である.また非特異的反応を抑制する工夫を要する.
- 凍結融解など繰り返しを避ける.
- 血液中Aβは血漿と血清では濃度が異なるので注意が必要.血漿での測定が望ましい.
( 松原悦朗 )
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