『弊社は検査機器・試薬メーカーでありまして、検査を受託することが出来ません。弊社プライマリケアサイトのスピード検索におきましては、
医歯薬出版株式会社からの許諾を受けて「臨床検査項目辞典」の情報を一部転載させていただいております。』
各検査項目がどのような目的で用いられているかを示します。
- 本検査は,クロム中毒が疑われるとき,クロム作業に従事しているとき,糖代謝異常があるときに行われる.
- 人工栄養,中心静脈栄養のときに欠乏症が生じることがある.
- 必須元素であるので欠乏に注意する.日本人の栄養摂取基準は1日当たり成人男性は30~40μg,女性は25~30μgである.
- クロム中毒は酸化状態により多彩であるが,①皮膚・粘膜の潰瘍,鼻中隔穿孔,②アレルギー性皮膚炎,③肺癌,④その他の肺疾患など,に大別できる.
- ①はCr6+の一次刺激によりそう痒性のある発赤,丘疹が手背,顔面,足趾などに初発する.湿疹化しやすく,掻傷,擦過傷が加わるとその部分が潰瘍化し“クロム潰瘍”となる.粘膜も皮膚と同様に侵されやすく,鼻粘膜,咽喉頭に炎症,潰瘍を作りやすい.外からの気流が直接当たる鼻中隔前部は障害を受けやすく,鼻出血,痂皮形成を繰り返すと潰瘍になり,深くなると鼻中隔穿孔をきたす.好発部位は鼻中隔軟骨部前縁下端から15mmくらいのところで,米粒大から指頭大で,痛みを伴わない.
- ②は一次刺激による皮膚障害に感作性障害が加わる.感作機序は十分明らかになっていないが,Cr3+が皮膚組織内でハプテン蛋白複合体を形成し抗原となる.Cr6+は皮内でCr3+に還元されるので実際の発生頻度はCr6+によるものが圧倒的に多い.
- ③は,クロム酸製造業者に肺癌が発生することは1930年代から知られている.これまでに報告されているクロムによる職業癌はクロム酸と顔料の製造に限られている.平均潜伏期間は10~20年,鼻中隔穿孔の合併率は30~70%.肺癌が最も多いが,上顎洞,鼻腔,咽頭,喉頭,消化器にも発癌する.発生の機序は不明である.
- ④はCr6+化合物の一次刺激により非特異的な呼吸器の炎症(気管支炎,慢性気管支炎など)である.喘息もクロム化合物による感作の結果であることがある.クロム化合物による消化管の障害をchromenteropathieという.金属クロムによる障害はないとされている.