岡クリニック 腎臓・泌尿器科は2009年4月、新神戸駅の近く、兵庫県神戸市中央区に開業されました。この地域は高齢者のみならず、新興住宅地に住む若年世代の患者さんも通院しており、地元の“かかりつけ医”として泌尿器科を中心に様々な疾患に対応しています。
今回、兵庫県泌尿器科医会会長も務める岡伸俊先生にお話を伺いました。
20年前、私が勤務医だった時代は大規模な病院でもない限り、看護師が沈渣を作製していました。実際に作っている現場を見たところ、尿の残し方やサンプルの採取方法などがスタッフによって違う。いわゆる再現性の問題ですね。これを改善しなければならないと思ったのが、装置を導入したきっかけです。
一方で、FCM法では定量的な検査の再現性が極めて高く、異常のない人の場合、数値がほとんど変わりません。
検査自体の意義は血尿の有無、血尿の程度、さらに内容の詳細です。尿沈渣検査は均一赤血球と変形赤血球を区別することができる。均一赤血球が増えている場合は高齢者であったら尿路の腫瘍、変形赤血球が増えている場合は糸球体性のものなのでIgA 腎症といった腎疾患を疑います。そうした赤血球の判別は、疾患の早期発見につながる。上皮細胞関連だと全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500(以下UF-1500)※1では上皮細胞、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞等を測定することができます。
※1:全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500(医療機器製造販売届出番号:28B1X10014000060)はシスメックス株式会社を製造販売元とする全自動尿中有形成分分析装置です。
異型細胞等※2(Atyp.C※2)という研究用項目も興味深いです。これは一例ですが、血尿の見られない前立腺肥大と過活動膀胱の患者さんを治療していました。しかし、白血球が10~20×103µlでずっと検出されている。細菌検査は異常なしです。尿細胞診を行ったところクラスⅣの陽性、すぐに病院を紹介して生検した結果、上皮内がんであることがわかりました。UF-1500の数値を見てみると、Atyp.C※2の数値が高く出ていました。このように血尿がない場合でも、稀にがんが発見されるケースがあります。
もう一つ大きかったのは院内を清潔に保てる点です。装置による検査は基本的に直接尿に触れることはありません。特に、当院は感染対策として清潔を第一に考えていたので、内視鏡洗浄装置や尿が入ったまま洗浄できるベッドパンウォッシャーなども導入しています。
※2:これらの項目・情報は研究用です。測定結果を診断目的に使用しないでください。