せたがや泌尿器腎クリニックは2019年12月に東京都世田谷区桜新町に開業されました。東京都心の近郊に位置するこの地域には昔から住んでいる方も多く、子どもから高齢者まで幅広く患者さんが来院されています。
また、待合室を完全に男女で分けていることもあって、患者さんの男女比は6:4程度と通常の泌尿器科専門クリニックと比較して女性の患者さんが多い状況にあります。1日当たりの外来患者数は60~80人、1カ月当たりで見ると延べで1,000人以上に上ります。
開業を考えていた時期に色々なクリニックを見学させていただきました。その中で全自動尿中有形成分分析装置UF-5000(以下UF-5000)※1を導入していた施設があったのです。非常に衛生的で検査スピードも速かったので、第一印象は良かったですね。
当クリニックの外来患者数は60~80人ですので、顕微鏡による尿沈渣で対応することは困難です。当初はここまで多くの患者さんにご来院頂くとは想像していませんでしたが、遠心分離機を使って尿沈渣を行うと、その後5分間は稼働することができません。これでは円滑な診療は難しいと思っていました。
また、以前勤務していた病院では尿沈渣を顕微鏡で行っていましたが、こうした目視による検査は沈渣標本を作製する人の技量によって検体の質が異なります。また、衛生面においても決して好ましい状況とは言えません。UF-5000は業務の効率化と衛生面という2つの点において非常に注目しました。
クリニック開業時にUF-5000を導入しているので、導入前との比較はできないのですが、患者さんから「もう結果が出たのですか」とびっくりされることがあります。UF-5000は起動している状態でしたら約75秒で検査結果を出すことができます。
※1:全自動尿中有形成分分析装置 UF-5000(医療機器製造販売届出番号:28B1X10014000041)はシスメックス株式会社を製造販売元とする全自動尿中有形成分分析装置です。
UF-5000は血尿に対して有効だと考えます。健康診断で尿中に血液反応(尿潜血)が出るケースはよくあります。しかし、試験紙による簡易検査であるため異常がなくても陽性と判定されてしまうケース(偽陽性)が非常に多い。UF-5000は沈渣を正確に検査することができるので超音波検査などと合わせて症状や疾患がどのような状態にあるのかをより正確に確認することができる。例えば腰に痛みなどが出て来院した患者さんに、「血尿が出ましたか」と尋ねると、肉眼的に見えていない場合は「出ていない」と答えます。しかし、検査してみると赤血球が検出されることがあり、目に見えない血尿症状を確認することができます。