所沢いそのクリニックは2023年4月に埼玉県所沢市東所沢に開業されています。防衛医科大学校で学ばれ、患者さんの傾向をよく知るこの地を開業の場として選ばれました。周辺には泌尿器科専門クリニックは少なく、近隣の清瀬市、東村山市、新座市、西国分寺市からも患者さんが訪れています。先生は内科も標榜されており、風邪や発熱、腹痛、高血圧といった内科の診療と併せて泌尿器科の相談を受ける場合もあるそうです。
クリニック専門のコンサルタントから紹介されて全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500(以下UF-1500)※1を知りました。紹介されて調べてみたところ、とても性能が良いと感じたので導入しました。
実際に使ってみると、測定時間の速さに驚きます。約75秒(STAT測定時)と患者さんが着替えて出てくる前に検査結果が出るので、診療時間が短い。患者さんからも検査結果が出る速さに驚かれます。
また、作業面からすると、看護師さんの作業の省力化につながりました。沈渣標本を作る場合、通常、採尿して尿スピッツに入れ、遠心分離してスライドグラスに滴下させる。通常こうした鏡検の準備だけで看護師さん1人分の仕事となります。それを必要としなくなったことは大きいです。
さらに検査結果の再現性ですね。人間の行う鏡検と違って、機械で行なっていますから再現性がいい。鏡検の場合、同じ検体でも見る医師によって判断が違ってしまうことがありますが、UF-1500はきちんと同一基準で行われているのでそうしたことはありません。
高価な装置なので価格面でいろいろ考えましたが、看護師さん一人分の人件費と捉えて購入することにしました。装置があれば、スタッフ・看護師が急に休んでも運用できるので、スタッフも安心して、業務につけるようになります。
※1:全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500(医療機器製造販売届出番号:28B1X10014000060)はシスメックス株式会社を製造販売元とする全自動尿中有形成分分析装置です。
UF-1500の結果から診断に有用と思われるのは、まず、血尿や膿尿における赤血球と白血球、細菌の増減です。血尿の場合は悪性腫瘍、尿管結石の可能性がありますし、さらに白血球が増加している場合は膀胱炎を疑います。
この装置には研究用項目や研究用情報として細菌グラム染色性情報※2などが装備されているので、注意すべき検体を見つける上で今後指標として使用できるよう検討が進むことを熱望します。
さらに細胞診ではないですが、がん細胞が混ざっているかとかがわかれば、非常に良いなと思います。また、可能かどうかは分かりませんが、細菌培養ができればと思います。検出された細菌が本当に目的のものであるかどうかが確認できる。通常、細菌培養には時間がかかります。瞬時にとは言いませんが、短時間で細菌培養ができるといいですね。
※2:本項目は研究用情報であり診断に用いることはできません。