感覚障害
別名 | sensory disturbance |
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疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。
「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690)
Clinical Chart
- 感覚障害は感覚過敏(hyperesthesia)や異常感覚(dysesthesia),錯感覚(paresthesia),神経痛(neuralgia)などの陽性症状と感覚鈍麻(hypesthesia)ないし感覚脱失(anesthesia)などの陰性症状がある.
- 筋力低下や運動失調を「しびれ」として訴えることが多い.外来に「しびれ」を主訴として受診した場合,そのしびれが感覚障害,運動障害,あるいは両者の合併のいずれであるかを最初に調べる.
- 感覚障害の分布を正確に把握して局在診断(末梢神経,神経叢,神経根,脊髄,脳幹,大脳半球),病因診断の順に進めていく.
- 原因疾患としてまず考えるべきものは,①単神経障害では絞扼性,②多発単神経障害では膠原病,③多発性神経障害では糖尿病,腎不全,薬剤性,潜在癌,④神経根障害では変形性脊椎症,脊柱管狭窄症などである.解剖学的分布に一致しない「しびれ感」には心因性が多いが,鑑別は慎重に行う.他の神経症候(筋萎縮,自律神経障害など)をふくめた全身の検索を進める.
- 治療は原疾患への対応を優先する.知覚過敏などの陽性症状には,プレガバリン,抗てんかん薬,三環系抗うつ薬,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬,メキシチール,ジアゼパムなどが有効なことがある(保険適用には注意が必要).共通の薬物療法としてビタミン B12およびビタミン E の投与が副作用の心配の少ない方法としてあげられる.
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検査
2.単神経障害(mononeuropathy)
[検査]
3.多発性単神経障害(mononeuropathy multiplex)
[検査]
各疾患に特徴的な症候,臨床経過,血液生化学所見より判断する.血管炎が疑われる場合には神経生検も考慮する.神経伝導検査で非対称性かつ複数の神経で伝導障害を確認する.
5.神経叢障害(plexopathy)
[検査]
6.神経根障害(radiculopathy)
[検査]
7.脊髄障害(myelopathy)
[検査]
8.脳幹・大脳半球障害
[検査]
①頭部CT MRI
②脳波
③髄液検査(頭蓋内圧亢進のないとき)
④MRA,脳血管撮影
[検査]
- ①放射線検査・生化学検査
- ① 絞扼好発部位の単純写真は原則として確認しておく.
- ② 糖尿病が増悪因子となっていることも多いので糖尿病の除外は必要である.また,リウマチ因子も必要に応じて検査する.
- ① 絞扼好発部位の単純写真は原則として確認しておく.
- ②神経伝導検査
- ① 対側の同名神経との比較が原則である.
- ② 同側の他の神経に異常がないことも合わせて確認する.
- ③ 絞扼部における伝導遅延や伝導ブロックがあれば診断上重要な所見である.
- ① 対側の同名神経との比較が原則である.
- ③筋電図
支配筋に安静時の線維自発電位(fibrillation potential)などの脱神経所見やlong duration motor unit potential などの神経再支配所見が認められ,かつ同じ髄節に支配される他の筋に異常所見を認めない場合,単神経障害としての診断価値が高い.
3.多発性単神経障害(mononeuropathy multiplex)
[検査]
各疾患に特徴的な症候,臨床経過,血液生化学所見より判断する.血管炎が疑われる場合には神経生検も考慮する.神経伝導検査で非対称性かつ複数の神経で伝導障害を確認する.
5.神経叢障害(plexopathy)
[検査]
- ①胸郭出口症候群の診断には誘発テスト(図8)が有用である.
- ②筋電図や神経伝導検査は病変の局在診断に役立つ.感覚神経の活動電位は罹患分布域で振幅が低下または消失している.また,神経叢の病変より遠位の分枝領域の支配筋に脱神経所見を認める.CT とMRI は癌や血腫の診断に役立つ.腫瘍の硬膜外腔への浸潤がMRIや脊髄造影でみられることがある.
6.神経根障害(radiculopathy)
[検査]
- ①脊椎単純Xp で変形,椎間腔の狭小化,後縦靱帯・黄色靱帯の骨化,脊柱管や椎間孔の狭窄,癌の転移(骨融解骨硬化)などの所見の有無を調べる.MRI,CTミエログラフィー,により神経根と脊髄の性状と圧排の有無をみる.神経伝導検査では,障害の程度に応じてF波の遅延やM波振幅の低下などを認める.ただし,感覚障害は後根神経節に近い部位の病変によって生じているため,感覚神経伝導検査には異常を認めない.針筋電図では支配筋の脱神経所見や神経再支配所見を認める.
7.脊髄障害(myelopathy)
[検査]
- ①血液検査(全血算,ビタミンB12 ,梅毒反応,抗HTLV-Ⅰ抗体)
- ②脊椎単純Xp
- ③MRI(脊椎の変化,炎症性変化,腫瘍,脊髄空洞症,脱髄巣,出血巣,梗塞巣などの検索)
- ④髄液検査(ミエリン塩基性蛋白,オリゴクローナルバンド,IgG index,梅毒反応,抗HTLV-Ⅰ抗体)
- ⑤ミエログラフィー,CT ミエログラフィー
8.脳幹・大脳半球障害
[検査]
①頭部CT MRI
②脳波
③髄液検査(頭蓋内圧亢進のないとき)
④MRA,脳血管撮影
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