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下痢

別名 diarrhea

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臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. 乳幼児の下痢の原因は食事過誤(食べすぎ,冷たいものの飲みすぎなど)も多いが,感染症,なかでも冬季に流行するウイルス性下痢が多く 80%以上を占める.
  2. 乳幼児では容易に脱水に陥り重篤化するので,脱水の程度により,輸液・入院の要否の判断が必要となる.
  3. 脱水の指標は体重で,これに,摂取水分量,嘔吐の有無,排尿の有無,機嫌や活動性などの全身状態で判断する.一般に 5%以上の体重減少で補液を考慮し,10%以上の減少で持続点滴が必要である.
  4. 感染性下痢は流行がみられるので,地域での流行状況,家族内や保育所などでの症状の有無,食事内容で過食の有無,食中毒の可能性など問診から推定できる.
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下痢の原因
(中田修二:小児科診療 66:2030-2035, 2003 参照)

<ウイルス性下痢症>
 乳児下痢症のほとんどはウイルス性である.
①ロタウイルス
 ウイルス性下痢症の代表的な病原の1 つである.A~F 群の6 種あるが,乳幼児でみられるのはA群でありC群の報告が散見される程度である.2 歳未満の乳幼児にみられ季節は冬季に多い.臨床症状は1~3日の潜伏期ののち嘔吐で突然発症し,続いて水様下痢がみられ1 日数回から十数回に及ぶこともあり脱水になりやすい.便は1/3 が乳汁様の白色を呈し,血便をみることもある.診断は抗原の迅速診断で行う.
②腸性アデノウイルス(40,41 型)
 小児下痢症の5~20%を占め,1 年中みられる.症状は下痢が長く続く(7~10 日)ことが多く,嘔吐・発熱はロタウイルスより軽微である.白色便をみることもあり,白色下痢便の10%を占めるともいわれている.
③ノロウイルス
 以前には小型球形ウイルスとよばれ,便中に排泄される形態学的に同定困難な30 nm 前後のウイルスを総称していた.カキの生食による食中毒で集団発生するのはノロウイルスが原因である.秋から冬に多くみられ,2~3 日の短期間で発生が集中した場合にはノロウイルスをまず考慮に入れる.小型球形ウイルスには他にカリシウイルス,アストロウイルスなどがあるが,いずれもロタウイルスより臨床症状は軽い.迅速抗原診断が可能となった.3 歳未満が保険収載されている
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