急性中毒
別名 | acute poisoning |
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疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。
「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690)
Clinical Chart
- 急性中毒の治療の原則(表1)を理解し,全身管理と中毒の特異的治療,情報収集を同時並行に迅速に行う.
- 近年,ルーチンでの胃洗浄など従来の処置法が見直されている.それぞれの治療法の適応と禁忌を理解する.
●アルコール(エタノール)
- 急性アルコール中毒は大学生の一気飲みなどで問題となることが多い.生命の危機に陥りうる状態であることをしっかり認識して診療にあたる.
- アルコール酩酊状態での転倒などにより外傷を合併していることがある.急性アルコール中毒以外の意識障害の原因検索を怠らない.
●アセトアミノフェン
- アセトアミノフェンは比較的手に入りやすい薬剤だが,重篤な症状が起こりうる.
- 服用後 4 時間の血中濃度が治療,予後の推測に重要である(服用早期の受診で障害が軽度であっても帰宅させてはならない).Rumack-Matthew のノモグラムを利用した治療を行う(図2).
- 解毒,拮抗作用を有するアセチルシステインの早期投与を行う.
- 肝障害が重篤化すると死に至る.
●サリチル酸(アスピリン)
- アスピリン(サリチル酸)は比較的手に入りやすい薬剤だが,重篤な症状が起こりうる.
- 来院時に無症状でも,薬剤の吸収により重篤化することがある.
- 代謝性アシドーシスの管理が重要である.
●一酸化炭素(CO)
- 一酸化炭素は無色,無臭であり,疑わなければ中毒の診断がつかない.SpO2では評価できず,血液ガス分析にて CO-Hb を測定する.
- 治療は純酸素吸入.高濃度の一酸化炭素を吸入している例では高圧酸素療法を考慮する.
- 火災などの一酸化炭素中毒例では,他の有毒ガスの吸入も考慮する.
- 遅発性脳症にも留意する.
詳細を見る
- 表1 急性中毒治療の4大原則
- 表はPC版サイトをご覧ください
- 図2 Rumack-Matthewのノモグラム
急性中毒の原因物質
2.アセトアミノフェン
[検査]
[検査]
- ①アセトアミノフェン血中濃度:服用後4 時間の血中濃度が治療・予後の推測に重要である.アセトアミノフェン濃度が迅速に得られない医療機関も多い.そのような場合は臨床症状と検査結果から治療を開始する.
- ②肝機能,腎機能,DIC を判断しうる凝固止血系の検査
- ①CO-Hb 濃度の測定:測定機能のある血液ガス分析器で容易に測定できる.ただし,SpO2は酸素化ヘモグロビンとCO-Hb を区別しない.よって,CO-Hb 高値でも,SpO2は低下しない点に注意.
- ②非喫煙者と喫煙者ではCO-Hb の正常値が異なるため,喫煙歴の問診も欠かさないようにする.非喫煙者のCO-Hb の正常値は<2%,喫煙者のCO-Hb の正常値は5~13%である.
- ③その他:赤沈亢進,白血球増加,アニオンギャップ開大性アシドーシス(乳酸アシドーシス),心電図異常(不整脈,ST-T 異常),胸部Xp 異常(肺水腫),頭部CT,MRI(FLAIR 像)にて淡蒼球,深部白質に高信号を認めることがある.
4.サリチル酸(アスピリン)
[検査]
血中サリチル酸濃度:血中濃度がピークを超えたところを確認することが治療上重要なため,3 時間ごとに採血を行う.
サリチル酸濃度が至急で得られない施設も多い.その場合,服用量がわかればある程度の重症度が評価できる(表12).
腎機能,電解質,肝機能,血糖値,凝固止血系,末梢血検査,血液ガス分析(特にpH),胸部Xp.
5.一酸化炭素(CO)
[検査]
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- 表12 アスピリン服用量と重症度
- 表はPC版サイトをご覧ください