子宮頸癌と子宮体癌
別名 | uterine cancer |
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「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。
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Clinical Chart
●子宮頸癌
●子宮体癌
- 初期においては無症状が特徴.Ⅰb 期以上で不正性器出血や帯下の増加を,進行癌では腰痛や排尿障害を訴えることが多い.
- 死亡率は減少傾向にある.これは比較的若い人の早期癌の治癒率がよいからである.
- 70 歳以上の子宮頸癌の死亡率は改善していない.
- 子宮頸癌の若年化は進行している.29 歳以下の異形成および早期癌も増加している.
- 子宮癌早期発見のためには,一度も癌検診を受けたことのない人に受診を勧めることが何よりも大事である.
- 子宮頸癌検診の目的は,早期に癌を発見するだけでなく異形成を発見することにその大きな意味がある.
●子宮体癌
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検査
- <子宮頸癌>
- ①細胞診:ベセスダ分類で表示される(日本婦人科腫瘍学会編:子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドラインの解説. 金原出版, 2010 参照).
- ②コルポスコープ(拡大鏡診):細胞診の偽陰性を補うためや,組織診の場所の確定に行う.外来で行え,疼痛も少ない.
- ③組織診:子宮腟部の一部を生検する.最終診断の1つ.若干の痛みや出血を伴うが通常外来で行える.
- ④円錐切除:子宮腟部を円錐型に切り取る組織検査.通常入院手術として行う.異形成の場合,これで治療として行える.
- ⑤画像診断:CT,MRI などにより子宮頸部から骨盤壁への浸潤の程度の判定が可能.
- ⑥腫瘍マーカー:高い精度の細胞診というスクリーニングがあり,これにコルポスコープ,組織診を加えれば早期診断が可能なため,腫瘍マーカーの測定意義は,病巣の広がりの把握や治療効果の判定,再発の予知,予後の判定に使われる.扁平上皮癌が多いので,主にSCC 抗原が使われる.腺癌などに対応するためCA125,CEA を追加することが多いが,早期癌での陽性率は低い.
- <子宮体癌>
- ①内膜組織診:子宮内腔から専用の器具で細胞を採取する.
- ②組織診:子宮内膜掻爬にて内膜組織を採取する.
- ③子宮鏡(ヒステロファイバー):ファイバーが発売されてから疼痛をそれほど伴わず行えるようになった.ファイバー下にねらい組織診が行われることもある.
- ④経腟超音波
- ① 正常では閉経後は子宮内膜は薄くなるため,内膜の厚さ5 mm 以上で子宮体癌陽性予測72~87%という報告がある.
- ② 漿膜との距離を測ることにより子宮筋層への浸潤の程度が推定可能.
- ① 正常では閉経後は子宮内膜は薄くなるため,内膜の厚さ5 mm 以上で子宮体癌陽性予測72~87%という報告がある.
- ⑤MRI
エコーやCT と比べて組織間コントラストが良好なため,体癌病巣の把握,進展度の評価に有用であるので,できるだけMRI を施行しておくとよい.
T2 強調画像で内膜(高信号の描出)に接した筋層(中等度信号に描出)の側には帯状の低信号領域が描出され,これはjunctional zone(J-zone)とよばれる.子宮体癌が筋層浸潤するとこのJ-zone が消失することで診断が可能.
- ⑥腫瘍マーカー
体癌における各種腫瘍マーカーの陽性率は低く,体癌に特異的なマーカーはない.リンパ節転移例,浸潤の認められる例ではCA125が指標になるといわれる.
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