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新型コロナウイルス感染症

別名 novel coronavirus infection

疾患スピード検索で表示している情報は、以下の書籍に基づきます。

臨床医マニュアル

「臨床医マニュアル 第5版」は、医歯薬出版株式会社から許諾を受けて、書籍版より一部(各疾患「Clinical Chart」および「臨床検査に関する1項目」)を抜粋のうえ当社が転載しているものです。転載情報の著作権は,他に出典の明示があるものを除き,医歯薬出版株式会社に帰属します。

「臨床医マニュアル 第5版」 編集:臨床医マニュアル編集委員会
Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.


詳細な情報は「臨床医マニュアル第5版」でご確認ください。 (リンク先:http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=731690

Clinical Chart

  1. コロナウイルス(CoV)感染症の多くは普通感冒の病原ウイルスで軽症に終わり自然軽快するが,呼吸不全をきたす高病原性 CoV として 2002 年に中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が,2012 年にカタールで中東呼吸器症候群(MERS)が初めて報告された.
  2. SARS-CoV,MERS-CoV ともにヒト-ヒト感染が認められ,高浸淫地への渡航歴がある場合には疑うとともに,院内感染対策を十分に行うことが肝要である.
  3. 医療従事者は二次感染の予防として,各々の流行状況に応じて適切に個人防護具を装着することが望ましい.
  4. 感染症法で SARS-CoV は 2 類感染症,MERS-CoV は指定感染症のため,RT-PCR などにより診断した場合は直ちに届け出る必要がある.
  5. SARS,MERS ともに特異的な治療はなく,重症肺炎,急性呼吸窮迫症候群,多臓器不全などに対する酸素療法,人工呼吸管理を含めた全身管理が重要である.
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検査

[SARS]
<検査>
①採血
 リンパ球減少,血小板減少,APTT延長,LDHの上昇が認められるが,いずれもウイルス感染として非特異的所見である.
②胸部単純Xp
 無症候性の場合でもほとんどの患者で第3~4病日で浸潤影,すりガラス陰影の出現など,肺炎像を認める.進行すると気胸,縦隔気腫や,ARDSへの進展を認める.
③胸部CT
 CT ではより鋭敏にconsolidationやすりガラス陰影を認め,ARDSに進展する際はより早期にその可能性が指摘可能となる.急性滲出期ではconsolidationとすりガラス陰影が,約3日目からの肺の構築改変を伴う亜急性増殖期にはconsolidation やすりガラス陰影内部に牽引性気管支拡張や歪みなどを認めるようになる.約10日目以降の慢性線維化期になると肺構造のリモデリングが進行して蜂窩肺,荒廃肺を呈するようになる.ARDSでは傷害発生の後,実際に診断される時点でこれらが種々の割合で混在することが特徴で,病変の乏しい正常な小葉が病変部に混ざってモザイク状を呈するが,特に重要なのは急性滲出期と亜急性増殖期が混在することを示す牽引性気管支拡張を伴うconsolidation やすりガラス陰影であり,この所見を認める場合にはARDSへの移行が強く疑われ,呼吸管理の強化が求められる.

[MERS]
<検査>
①採血
 リンパ球減少,血小板減少,LDH・ASTALT の上昇が認められるが,いずれもウイルス感染として非特異的所見である.
②胸部単純Xp
 浸潤影に加えてすりガラス陰影などの間質性陰影も認められる.
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